青草新吾の惺々著考 glocaleigyo

生産財の青草新吾1はリタイア。シニアの青草新吾2は複業で貢献を目指す。

225.コロナ後の変化を自分と社会に活かそう!

世界史的な危機がもたらす変化はチャンスにもなります。「まずは生き残ること」です。生業(稼業)について、自分と家族のため、更に生命体の生存に貢献できる働き方や会社・産業について考えてみましょう。

  コロナショック後の変化の方向性については、PFドラッカー提唱の観察手法(すでにおこった未来)がとても有用です。感染リスクのキーワードは、都市部への人口集中交通機関の発達グローバル化、です。物事には必ず 功罪・陰陽・光陰 の裏表があります。1918年のスペイン風邪からは感染パターンを、14世紀欧州の ペスト(黒死病)のパンデミック( Pandemic ) からはグローバル化の弊害、を学ぶことができます。

  今回のコロナ危機は 「 生存危機 」 です。生き残ってこそ次の飛翔の機会に巡りあうこともあります。生命体として、ビジネスマンとして、生き残りノウハウを高めていきましょう。・・・・日本だけ先進国唯一で貧困化が止まず、先人の世界最速の近代化や戦後復興の遺産を食い潰し続けているのも、正しく稼ぐ力を持ったリーダーや会社足らないからです。足らないながらも少なからず存在する、正しく稼ぐ力を持ったリーダーと会社やその支援者を応援していきましょう。

       1百年前のスペイン風邪 からは、感染パターンを学べます。ウイルスは宿主を陣地にして、陣地を増やしていきます。有力説だと、発端はどうも今の中国山西省で1917年頃に感染爆発した呼吸器疾患が、カナダ経由 で広がっていったようで、北米から広がって1918年に感染爆発 したのではないかということです。・・・・ 第一次世界大戦塹壕戦で感染した兵士が、1918年休戦 で復員して自国に持ち帰って、世界中に広がった。当時の致死率は今回の武漢肺炎 とは逆で、老人の致死率が低くて、若者の致死率が高かったようです。

  14世紀のペスト(黒死病) からはグローバル化の必然としてのパンデミックを学べます。史上空前の広大な領土を統治するに至ったモンゴル帝国の モンゴルによる平和 ( パックスモンゴリア  Pax Mongolia ) の下で、シルクロードが整い、グローバル通商が芽生えて繁栄しました。詳しくは、2011.8.14付179頁 [ 戦後世界と日本を台湾から俯瞰 ] と、2009.1.25付の 141-3/3頁 [ グローバル通貨 ]と 141-2/3頁 [ 法治国家とグローバル通商国家のモデル ] で前述しました。・・・・モンゴルによる平和で実現した人々の広範な自由往来により、元々は中国のどこかの疫病であったろう ペスト感染 が、短期間で欧州にまで広がり、欧州では人口が半減(?)するような惨禍になってしまった・・・・。

   グローバル化は、ウイルスの広範囲な移動も容易にします。・・・・ 国家や会社などには マネジメントの限界 が存在します。筆者/青草新吾には、遠い未来はさておき、今はまだ国民国家をベースにした国際化 くらいが、国境なきグローバル化よりもベターなのだと感じます。マネジメントの限界については、国家規模と統治構造については、200頁( 2015,12.31付 )、194-1/2頁( 2014.7.20付 )、191頁 ( 2013.9.16 )、 会社の事業規模については、112-1/3頁2007.12.30付けや、111-1/2頁2007.12.22付け、で前述しました。・・・・国境なき世界など夢のまた夢、適度な国境管理が今後とも重要と考えると、日本で伸びていく産業会社、生業として自分が関わっていきたい分野と職業も見えてきます。       

  今回のコロナ危機で強調されている自身と家族や共同体を守るための 「 適度な距離接触 」 は、このまま日常に定着していくと思います。観光業飲食業では お客に安心感を与える工夫が要ります。できなければ淘汰される ことになりそうです。インバウンドビジネスにも淘汰が進みますから、黄色信号が点滅を始めたといえます。コロナ後伸びる事業条件や分野をみていく必要があります。・・・・ 幸いにも、日本は、先進国の中では米国に次ぐ内需国大国です。貿易依存度GDP比30%くらいです。内需中心に、TPP11か国と米国・台湾・比国も含めた環太平洋中心でもやれることがまだまだ多々あります。先進国唯一の貧困化を食い止めて、再び一人当たりで豊かな国にしていけるだけのネタはまだまだあります。日本には、後述のように得意な産業分野と仕事が多々あります。・・・・ まずは、これからは繰り返し見舞われるであろう世界危機で沈没してしまわないように事実に基づく 頭の整理をしておきましょう。

  戦後の日本が遭遇した世界的な経済危機は、1970年代の二度のオイルショック、1990年代のバブル崩壊 ( 日本以外の他国はソ連崩壊 ) 、2008年の世界金融危機で、株価の大暴落と失業などの社会不安が繰り返されました。・・・・筆者/青草新吾は、今の日本の低迷、先進国唯一の貧困化は、1990年代に変化できずに積み残した課題が放置されたことで悪循環に陥ってもたらされたと考えています。・・・・1990年代当時、日本以外の先進各国では、ソ連崩壊と東西冷戦終結の大変化を機会に、グローバル化と世界的なパラダイムシフトが猛烈に進みました。この同じ1990年代に、日本だけがバブル崩壊と内向きな現状維持の政治で足踏みしてしまい、世界の変化から取り残されて、多くの旧態依然が既得権益とともに残ってしまったと感じています。

  前回の危機爆発2008年でした。2008年は8月に iPhone が登場し、変化の予兆を感じさせてくれましたが、翌9月には、米国でリーマン社が破綻しました。・・・・危機で、それまでの深層海流が浮上して表層海流になるように、幾つかの大変化が見えるようになりました。

  経済面と生活面での表層海流について。情報通信の分野では、通信規格第3世代(3G)の爆発的変化が起こりました。そのことで、より大きな産業という括りでは、米国のGAFMA ( GoogleAppleFacebookMicrosoftAmazon ) が巨大化し、 追いかけるように中国のBATH ( 百度、阿里巴巴、騰訊、華為 ) が爆発的に成長拡大しました。・・・・この大変化を通して、スマホタブレットを道具にしたWebサービスが、日常の隅々にまで浸透しました。

  政治面での表層海流について。前回2008年のリーマンショック以降で浮上してきたのは、連合王国が、2016年6月国民投票で EU離脱( Brexit ) を選択し、翌2017年1月米合衆国ではトランプ大統領が誕生しました。・・・・グルーバル化の思想潮流は、共産主義( 国際共産主義運動 ) や、米国リベラル派( リベラル国際主義 )です。共産主義思想洗脳米国リベラル派ポリティカルコレクトネス( Political correctness ) と称する 思想統制 と言葉狩り( word hunting ) がを正当化するイデオロギーが共通してます。・・・・ブレグジットトランプ大統領行き過ぎたグローバル化 に対する揺り戻しの象徴ともいえます。・・・・リーマンショック以降の大変化良かったこともあります。

  まず日本国民にとって良かったことです。スマホタブレットの登場とWebサービスの飛躍的な発展のお蔭で、多くの日本人が 「自分で調べて選択する」 ことができるようになりました。受け身なことが多い日本社会ですが、自分から求めて動くというスタイルをもたらされたのは良かったです。自由主義民主主義にとってはとてもよいことだと感じます。

  続いて日本経済にとって良かったことです。米中と比べると地味で小粒ですが、戦後復興期のソニーやホンダのような、危機をばねにして 著しく発展する日本企業存在すること です。代表事例として、株式時価総額トップ100 からも確認できます。起業者一流事業家としても著名な会社ばかりです。このような会社が増えてくれると、日本全体も長期低迷から浮上していけます。

       バブル崩壊以降の上場企業で、上場後30年でトップ100にまでたどり着いた青年の会社。91位 1.2兆円で LINE (2016.7上場)、86位 1.4兆円で  楽天 ( 2000.4上場)、9位 6.7兆円で ソフトバンク ( 1994店頭公開 )。

  オイルショック以降の上場企業で、上場後50年を経た中年の会社です。31位 3.5兆円に  日本電産 ( 1988.11上場 )、15位 5.4兆円 に ファーストリテイリング ( 1994.7広島上場  )、5位 9.1 兆円 に キーエンス ( 1987.10大阪上場 ) ・・・。

  さて今回のコロナ危機 ( 武漢肺炎 ) は、生命自衛戦争なので、今までの経済の経済危機とは質が違います。ややこしいのは、経済危機の部分です。前回の2008年リーマンショック以降、ショックから脱するための政策の結果でもありますが、世界中で債務が膨張 しました。

  日本国民が生きていく上では中国経済には注意が要ります。隣国で巻き込まれやすいことに加えて、巨大化して世界への影響力が高まったからです中国共産党の統治がいつまで続くか分かりませんが、中国経済バブル崩壊は必ず起こると思われます。・・・・産経新聞特別記者の田村秀男さんのレポートによると、中国は、政府、企業、家計の債務合計GDP比300%の40兆ドル( 43百兆円 )で、日本の銀行預金運用では国際金融市場を経ての間接的な貸付がかなりあるようです。他に日本企業14千社の対中直接投資の合計は14.8兆円だそうです。

  IMFなどのレポートだと、世界債務は180兆ドルで、世界GDPの2.2倍にまで膨れており、これは前回のリーマン危機時の2.6倍だそうです。前述の中国もそうですが、米国企業を含めて、世界中で膨れ上がってます。慶大教授の白井さゆりさんによると「米国では現金需要の増加が金融政策運営を難しくしている。各銀行の準備預金が減り続け、銀行間市場のマネーが不足しがち 」 とのことです。

   国家単位の地産地消緩やかな国際貿易を組み合わせたくらいがベターなのだと感じます。国境を最も低くみた金融資本主義の行き過ぎは、是正方向です。自動車産業グローバル化の行き過ぎも今回で臨界点を超えてしまったようです。・・・・ モノとしては、生きていくための水や食料、持続可能な循環型社会に貢献する省エネ省資源な産物、これらを使うコトやサービスとしては、関わる方の関心やミッションによって千差万別です。その中で、筆者/青草新吾が感銘を受けたコトとサービスの事例の一つが、比国の三輪タクシー向け Fintech IoT のビジネスモデルです。

  三輪タクシーの運転手が、自前の三輪タクシーを購入してオーナーになるための融資をサポートするモデルです。ローンを滞納したらエンジンが動かなくできる沿革システムの提供で現地銀行の融資と新規オーナーの借り入れをサポートします。・・・・日本は、戦後の農地解放で、多くの小作人が自営農となり、首都圏などでは多数の土地成金も生まれましたが、所有して個人事業主になることで日本全体が豊かになることに貢献しました。・・・・ 筆者/青草新吾は、商社勤務で比国駐在した時期がありますが、多くの貧しい方々がより豊かで幸福にることで喜ぶ顔が目に浮かんでくるようです。・・・・起業者は、1967年岐阜生まれ中島徳至なる御仁で、会社名は、GMS ( Global Mobility Service )。インターネット検索したら、比国に加えてインドネシアカンボジア、韓国でも事業展開されているようです。 株主や提携企業にも有力どころが参加しておられ、期待の高さが分かります。

   今回のコロナ危機( 武漢肺炎 ) は、隔離という名の「 自由主義の強制停止 」を伴います。公共のために 共産党国家のように全体主義的なことも已む無しです。だからこそ徴税者である国家は、納税者に対して 隔離手当としての給付をする義務があります。・・・・稀な例外を除いて、リーダーに恵まれないのが日本です。日本の官僚と政治家の多数派は、敗戦を終戦と言い換え、責任を軍人に押し付け一億総ざんげと称して、国民全員に責任転嫁してしまうような表層海流の漂流物です。自由主義と民主主義の立場からも、今回のコロナ危機は見直すよい機会にしたいものです。