青草新吾の惺々著考 glocaleigyo

生産財の青草新吾1はリタイア。シニアの青草新吾2は複業で貢献を目指す。

91-4/4 ハイブリッド車向け車載電装デバイスで高性能素材

ハイブリッド車は従来にない車載電装デバイスを必要とし、これらの車載電装デバイスは従来とは異質の素材を必要とします。

派生需要の連鎖がイノベーションを加速します。ハイブリッド車の電子部品搭載で高性能素材(マテリアル系生産財)の需要を生み出されていきます。
樹脂分野では、高耐熱性樹脂の需要量が増えています。日経新聞2005年11月15日付で「PPS(ポリフェニレンサルファイド)は日本の素材メーカーのほぼ独壇場。クレハ東レは相次ぎ増産し、環境性能向上のために電子部品が増えるハイブリッド車向けなどの需要急増に対応する。ハイブリッド車は制御用の電子部品が多いことから、乗用車1台当たりの使用量はガソリン車の十倍の2kgに達する。ディーゼル車でも騒音防止のために高い密閉性が求められるエンジンルームではPPSへの代替が増えてきた。」と報道していました。
金属分野では、62[九州地区の産業集積]で三井ハイテックハイブリッド車モーターコアに進出した事例を記述しましたが、ハイブリッド車のモータ関連では新日鐵JFEスチールの底力がみえてきます。
ハイブリッド車駆動電源の電気ノイズを除くリアクトルで使われる高級電磁鋼板に関しJFEスチールは日経新聞2006年6月19日付で「JFEスチールは、このほどトヨタ自動車のレクサスGSとカムリに同社のスーパーコアと呼ぶ高品位の電磁鋼板が採用されたことから、東日本製鉄所京浜地区で、鋼板にシリコンを染み込ませる専用の炉を増強して生産量を高める。増産分はハイブリッド車向けに配分する。年間で400千台分に相当する。2008年度までに現行の5倍増となる月間230トンに引き上げる。JFEはスーパーコアを世界で唯一量産でき、プリウスハリアーのリアクトル向けに全量供給している。新幹線の補助電源や太陽光発電システムの電源としても使う。ハイブリッド車向け電磁鋼板ではモーター用新日本製鉄世界シェア90%を握る。両社ともハイブリッド車に力を入れ、高品位製品の比率を高める方針だ。」と報道されていました。
また赤外線センサーで世界シェア6割の日本セラミックは次の事業の柱としてハイブリッド車向けの電流センサーを据えたそうです。日経新聞2006年8月26日付は「日セラの電流センサーは電流が流れると発生する磁界から電流値を測定する仕組みで、電池の充放電やモーターのインバーター機能を制御するのに1台当り通常4個使う。産業機器のモーター制御なども含め数年後には生産量が全体で月産200千個、部門売上高は年間20-30億円を見込んでいる。本格的な生産は比国(フィリピン)や中国などの拠点活用を計画している。」と報道していました。