93-3/3 エコキュートと自然冷媒ヒートポンプ
エコキュートは自然冷媒のヒートポンプで大気の熱を回収し活用するオール電化の目玉の一つですが、高圧の自然冷媒を使うことから新規の派生需要が生まれています。
日本国の二酸化炭素排出量に関し、97で前述通り家庭部門が14.5%の175百万トンを排出しているそうです。その家庭部門エネルギーの1/3を消費する給湯の省エネではエコキュートが期待されています。但しエコキュートで使う自然冷媒は、冷媒としての性能ではフロンよりも劣っていますから、劣る性能の自然冷媒を何とか使いこなすための工夫が行われており、そのことから派生需要が出てきています。99[鉛フリー化]で今までの鉛ハンダのハンダとしての性能があまりにも優れていたために性能が劣る鉛フリーハンダを使いこなすことで出てくる製造技術上の課題例について記述しましたが、同様の構図です。
エコ給湯の派生需要と加工流通に関し、日刊産業新聞2007年7月5日付は「(堺市で)冷媒銅管加工の扶桑工業は初めてのエコ給湯向け銅管加工事業を立ち上げる。新工場でヒートポンプ配管の端末加工と組立を行う。エコ給湯用の銅管は空調用銅管と規格が異なり、公差は従来の三分の一以上の高精度が求められる。接合も従来のロウ付けではなく、銅管端末を拡管加工し、オーリング、シール、ゴムパッキンを用いて黄銅金具で接合する。」と報道していました。同じく日刊産業新聞2007年7月17日付で「キッツはパイプ・継手メーカーの三葉製作所からエコパイプの供給を受け、エコキュート配管用のアルミ三層複合架橋ポリエチレンの配管キットの販売を開始したと発表した。内面架橋ポリエチレンの3層構造を用いることで耐熱性を向上させ、常用温度(空気中で連続使用できる温度)セ氏95度を実現した。耐候性断熱材がついているため屋内外を問わず遮光テープが不要で、施工時間が短縮できる。重量は銅管のおよそ半分・・云々」と報道していました。