青草新吾の惺々著考 glocaleigyo

エコシステム型の生産財営業でイノベーション共創と好社会を目指す。

147-1/3. 省エネでヒートポンプ

欧州委員会は、2008年12月に太陽光や風力に加えて大気熱(ヒートポンプ)と水熱を再生可能エネルギーの一つとして認定したそうです。

地球環境対策で次々と規制を打ち出してきた欧州は再生可能エネルギー利用比率20%にすることを目標に掲げているそうです。再生可能エネルギー(Renewable Energy)とは、自然界で永続的に得られるエネルギーで、太陽エネルギーが供給する熱や光(電磁波)、地球内部から供給される地熱、などに加えて日本で発達したのが大気熱の利用です。ヒートポンプとは大気熱を利用するために、大気から熱を汲み上げるデバイスです。ヒートポンプは、空気や水の熱を汲み上げて利用することで、投入エネルギー4-6倍もの消費エネルギーを得ることができます。ヒートポンプを空調で利用するヒートポンプ式エアコンとは、155で前述したインバータエアコンに102[2007.8]で前述したヒートポンプをつけて暖房能力省エネ効果を高めたエアコンのことです。日本国内ではヒートポンプ式インバータエアコンが普及していますが、日本以外ではこれからです。ヒートポンプを給湯で利用するのがエコキュート(自然冷媒ヒートポンプ給湯機)です。エコキュートの給湯配管では銅管を使います。銅管の主要な需要はエアコンでしたが、最近ではエコキュート向けの需要も伸びています。日刊産業新聞2009年4月23日付は「全体の銅管生産が減る中でのエコキュート向けの伸びが目立つ。銅管メーカーは、これまで主力だったエアコン向けとに加えて、自然冷媒ヒートポンプ給湯機(エコキュート)への志向も強めている。日立電線は22日に実施した2009年度生産計画発表の中で“銅管はエコキュート向けに拡販していきたい(板橋寿・金属材料事業本部事業企画マネージャー)。当社は銅合金条を銅管と同じ土浦工場で生産しており、将来必要になった時に(合金の銅管を)生産できる体制はできている。”と述べた。銅管最大手のコベルコマテリアル銅管エコキュートに使われる銅合金管の販売を強化。09年度の銅合金管の月産量(平均)は08年度比約20%増の月2.5百トンを目指す。」と報道していました。暖房能力を高めたヒートポンプ式エアコンについて、三菱電機が取り組む寒冷地向けエアコンに関し日経ものづくり2009年2月号は「ヒートポンプとは、外気の熱を汲み取って濃縮し、室内側に放出する機械。外気に熱が少なくなれば、室内側に供給できる熱量も少なくなる。通常のヒートポンプ式エアコンは、零下15度摂氏にもなるような地域では使えない。三菱電機は、“フラッシュインジェクション”と呼ぶ技術を用いて、-15度摂氏定格運転-25度摂氏までの暖房運転が可能になるようにした。寒冷地向けエアコンは、冷房よりも暖房に使うもの。燃料を使う暖房に比べて、運用コストが小さい(特に石油高騰時)、二酸化炭素排出量が少ないなどの長所があるが、“外気温が低すぎると暖房効果が低下してしまう。”という問題があった。このため、外気側の熱吸い上げ効率を上げるための工夫として“湿り気の多い冷媒を外気からの熱回収に回し、湿り気の少ない冷媒を室外機熱交換器をバイパスさせるフラッシュインジェクション方式が用いられてきた。三菱電機は、運転状況に応じてバイパスする冷媒の湿り気度合いを調節できる機構(HIC:Heat Inter Canger)を開発し、フラッシュインジェクションに組み込んだ。HICは二重管構造。内側の冷媒は外側から熱をもらい、蒸発現象を起こして湿り気が減り、同時に外側の冷媒は湿り気が増える。この湿り気が増えた冷媒のみが室外機の熱交換器へと向う。」と、またエアコン以外への応用について「寒冷地のヒートポンプは、エアコンだけでなくさまざまな応用が考えられる。欧州では床暖房用など、60度摂氏までの給湯設備に使う需要があるという。また30度摂氏程度であっても、駐車場など屋外施設の融雪用に使うことができ、実際、三菱電機は既に製品化している。」と紹介していました。ヒートポンプ式の給湯暖房システムについて電波新聞2009年3月30日付は「三菱電機が欧州を中心に展開しているヒートポンプ式給湯暖房システム(Air to Water)事業が好調に推移している。08年度売上は、前年比10倍1百億円を記録。09年度も50%増を見込む。欧州ではラジエータ暖房床暖房サニタリの給水などの熱源としては、ガスや石油ボイラーが一般的だが、英国フランスドイツなどでは、ヒートポンプを導入促進する補助金制度も設けられた。三菱電機では同事業を07年度から本格的に展開。主力は“インバータ制御の室外ユニット”を中心としたシステムで、水熱交換器との一体型(パッケージタイプ)とスプリットタイプの2種類を用意している。同社自前の販売ルートでは7割一体型が占めるという。さらにビル用マルチエアコンを使った豊富な製品群で、幅広いニーズに対応する考え。」と報道していました。電波新聞によると三菱電機は、群馬製作所エコキュートを製造する給湯機製造部がマイクロバブルを利用した配管洗浄機能付で日本電機工業会(JEMA)の第58回電機工業技術功績者表彰の家電部門最優秀賞を受賞(2009.4.17付)、静岡製作所が床暖房システムやパネルヒーターなどに温水を供給するAir to Water(ATW)を、和歌山の冷熱システム製作所でビル用マルチに給湯ユニットを組み合わせるHot Water Supply(HWS)を提案(2009.4.9付)しているそうです。
ヒートポンプ技術による温水暖房を欧州で展開するダイキン工業について電波新聞2008年12月2日付は「欧州ではエアコンがまだ冷房需要主体であることから、ヒートポンプ暖房は冬季期間に売上を伸ばす商品と位置づけられる。ダイキン工業は、欧州ではアルテルマ(altherma)を投入し、07年度1百億円の売上を記録した。今後も低外気温対応機など幅広い商品群をそろえることなどで、10年度5百億円を目標に、欧州のヒートポンプ式温水暖房事業の拡大を目指す。
三菱電機は、ヒートポンプ式給湯システムを08年度で50億円を販売、09年度は1.5百億円、12年度には5百億円に引き上げる。」と紹介していました。電波新聞2008年7月16日付/6月5日付は「ダイキンなどが日本発のヒートポンプ技術を搭載した給湯・暖房システムの欧州市場への投入を開始した。欧州の人たちは輻射式のストーブに慣れているため、直接に室内機からでる暖房流(気流)に当るのを嫌がる傾向が強いといわれる。そこで日本メーカーが市場投入を開始したのがヒートポンプによる床暖房ユニット給湯・暖房システムだ。石油などの燃焼系ボイラーと比べると、CO2の排出量が大きく削減できる。国の導入支援策では、ドイツでは今年1月から年間COP(エネルギー消費効率)が3.5あるシステムであれば、新築で1m2につき5ユーロ、最高750ユーロまで、既築ではCOP3.3以上のシステムで同10ユーロ、最高1500ユーロといった補助制度がスタートした。給湯・暖房(燃焼式)グローバル市場約3兆円で、欧州では、燃焼暖房市場の規模が1兆5千億円空調機器と変わらない大きなマーケットがあるといわれる。」と報道していました。
太陽熱の利用では太陽熱温水器がありますが、国内最大手の長府製作所の展開について日経産業新聞2009年4月1日付は「4月1日から東京都助成制度を始め、太陽熱温水器のメーカーもにわかに活気づき始めた。最大手の長府製作所住友林業と連携し、新築住宅向けに住友林業と連携し、太陽熱温水器の販売を始める。都内を中心に月1百台の需要獲得を目指す計画だ。長府製作所の2008年度の販売数は24千台程度。今年度は助成効果で数千台の積み増しを目指す。面積当りの太陽エネルギーの利用効率太陽光発電が最大でも20%程度。これに対し、太陽熱温水器60%近く。導入コストは太陽光発電の数分の一という割安感もある。東京ガスの調べでは、一世帯あたりの平均二酸化炭素排出量の一割程度、年間320KGの削減効果があるという。」と報道していました。
省エネ・環境技術は日本のお家芸といえますが、家電エレクトロニクスでいえば、インバータ技術ヒートポンプ技術断熱材技術、電子レンジの過熱水蒸気の技術などのバイス部材力がベースとなった垂直統合型のビジネスモデルから生み出されています。