102-2/4 再生可能エネルギーで太陽光発電
自然の摂理の中の人類の営みによる資源価格高騰で、再生可能エネルギー、とりわけ太陽電池の発電コストが経済性に見合うものへと近づきつつあります。
太陽光発電システムの総合効率と原価低減の両方で急激な改善が進んでいます。半導体産業新聞2007年10月10日付で「システム価格は、日本国の場合で94年の2百万円が06年には0.66百万円まで低下。またKW当たりの発電コストも40円前後まで下がってきた。(本稿109で前述した)PV2030では2010年に23円、2030年に7円まで引き下げることが盛り込まれている。」と、また需給動向に関しても「94年の時点でわずか70MWだったセル生産量が、2000年で287MW、04年1,180MW、06年2,500MW。」と報道していました。太陽電池の2005年世界生産量1,758.7MW(1.75GW)は、1基1000千KW(1GW)の原子力発電の2基分に相当します。
太陽電池の生涯発電能力と太陽電池の製造で消費する電力のバランスも大きく改善されています。109と110で太陽電池の分類[バルクシリコン系/薄膜系/有機系]を前述しましたが、レアメタル・ニュース2007年7月24日付によると産総研・太陽光発電研究センターの成果報告会で「エネルギーペイバックタイム(EPT/製造時の投入エネルギーの回収に必要な時間)は現状では、多結晶シリコンが約2.0年、薄膜シリコンが1.5年、薄膜化合物(CIS)1.4年。CO2ペイバックタイム(CO2PT/製造時排出分のCO2削減に必要な時間)も現状では、多結晶シリコンが約2.7年、薄膜化合物(CIS)が0.9年であり、太陽電池の寿命は20-30年と考えられていることから、最新のEPTとCO2PTはともに寿命にくらべて十分に短い」と発表があったそうです。かっては太陽電池の生涯発電能力よりも太陽電池の製造に要する電力の方が大きく、環境保護の点からは火力発電よりもマイナスといわれる時期が続いていましたが、名実ともにクリーンエネルギーに成長したといえます。