青草新吾の惺々著考 glocaleigyo

生産財の青草新吾1はリタイア。シニアの青草新吾2は複業で貢献を目指す。

113-1/4 惺々著(せいせいじゃく/眩まされるな!) 21世紀初頭の成長分野を俯瞰していく

本稿は、生産財分野を題材として、惺々著(眩まされるな!)と、情報洪水の中をかき分けながら、21世紀初頭の成長分野を俯瞰しながら、競争力と付加価値を生み出す人間の営み並びに人間の営みと社会や地球環境との絆(きずな)を考察していきます。

禅語にでてくる主人公(煩悩や我執に支配されない主体的な自己を実現できる人)は自分に向かって惺々著(せいせいじゃく)と自問自答を繰り返していたそうです。自分の専門領域でも踊らされることがありますから、まずは情報取扱MECE(ミッシー)である不易流行で層別することがお薦めです。情報は「不変で普遍な不易情報」と「変化していく流行情報」に大別できます。国際競争力が高い企業や、逞しく地方から展開するオンリーワン企業長寿企業からは不易情報と流行情報の両方のヒント情報を得ることが多々あります。本稿は、この部分からの学び気付きをひとつの目的としています。
日経新聞2008年1月3日付への寄稿で米MIT名誉教授/ポール・サミュエルソン氏が「日本が90-2002年のような景気低迷逆戻りするなら誠に残念である。私の日本への最大の提言は、賢明で積極的な行動を起こしなさいということだ。・・・日本政府は黒字の大半を低利回りの米国債で運用している。それにしても日本(の金融官僚)は、何故ドルが今後も長期間、下落し続けることに、いつまでも気づかないのだろうか。」と、あるいはゴールドマン・サックス証券のストラテジスト/キャシー松井氏は「今の日本はヒト、モノ、カネという財産が十分に生かされていないことに歯がゆさを感じます。私のキャリア17年間の中で、世界の投資家日本の将来性に(今までで)最も悲観的になっています。」と述べておられました。日本国を企業に見立てるならば、本社のコーポレート部門に相当する中央省庁不作為の巣窟と化して国全体の生産性押下げ元凶となり、一方で広報部に相当する報道機関も安穏と既得権益に酔いしれて伝えるべき情報を内外に伝えていない、ということです。日経新聞2008年1月4日付で堺屋太一氏は「個々の官僚の才能と善意にも拘(かかわ)らず、組織全体としては邪魔な存在になってしまった日本の官僚制度は、有能有志の官僚プラスに働かせるための倫理と制度の改革が必要である。」と看破し、また日本からの情報発信については「日本語から英語に訳された書物はハンガリー語デンマーク語よりも少ない。東京の外国人記者クラブは加入者が減る一方・・」と憂いておられました。
ビジネスの上では、正確で多角的な情報が必要ですが、日本のメディアの多くは提供できません。日本のメディア産業とは、一部の例外を除けば、国際化が最も遅れた産業です。規制と既得権益に守られているからです。国際競争力に富む海外の有力メディアは「読者が自分で考えるための事実報道」を商材と考えていますから、独自取材事実確認をとても大切にしています。取材で殉職された橋田信介さん(イラク)や長井健司さん(ミャンマー)のように命を賭して事実を取材してくれる方々をとても尊敬してます。だから事実を宝物のように大切にして報道します。だからこそニュースは広く世界に吸い込まれていきます。平和ボケした日本のメディアとは事実に対する基本的姿勢の点で大きな違いがあります。
日本の大概の報道機関はといえば、取材や事実確認よりも準備された情報の取扱利権貪るようなところがあります。例えば政治記事では記者クラブ経済記事でも日経新聞一部記者による独占禁止法の精神に反するような行い、例えば、日経で記事として採用するためには、日経以外の他紙に情報を流さないようにしてくださいなどと、取材特ダネ自己演出に余念がない記者が実在します。筆者/青草新吾は中国政府が発表する1百万人集会の規模を五感で理解したくて、北京の天安門広場を歩き回って検証したことがあります。そこからすると沖縄集団自決問題でみられた事実軽視誇張報道「抗議集会で11万人」にはズレを感じます。現場取材の経験が豊富な記者ならば、代々木公園の集会などと比較すれば、その集団の固まりの規模は想像がつくでしょうし、何倍もの差がでるというのが解せません。最近は買い取った情報を貼り付けるだけの報道が多いとはいうものの、ここまでやると嘘つきです。耐震偽装産地偽装同じことです。さすがに臆面もなく一面トップで報道してしまったのは、全国紙では朝日新聞9月30日付だけだったと記憶します。ニュースにもJISやISOのような品質規格があればよいのにと思うことがあります。「事実論理倫理に基づくクオリティペーパー」に自らを経営改革できれば国際競争力が高まるし、日本社会への貢献度も高まると期待もするのですが・・。朝日ジャーナルは廃刊となりましたが、総合月刊誌(論壇誌)が月に3百万部も出版されて興隆をきわめていることに時代の移り変わりを感じます。主人公であるためには、惺々著(眩まされるな!)と、玉石混合の情報と日々付き合っていくほかありません。