青草新吾の惺々著考 glocaleigyo

生産財営業でイノベーション共創と社会貢献を目指す。

145-2/2. 台湾企業の次の成長ステージ

中国や台湾で展開する日本企業や、パソコンや半導体で実力をつけてきた台湾企業が次の成長ステージに向けての準備を強化しています。

日本の電子部品産業では、昨年のリーマンショック以降、新工場建設の延期や中止の発表が相次いでいますが、人間の生活に必要不可欠なエネルギー環境医療、の3分野は例外的に、新規投資案件が引き続き続々と立ち上がっていきそうです。エレクトロニクスがかかわる範囲がますます拡大していきます。
中国台湾では、在庫消化された機器から、機器に搭載する部品や部品向け部材の発注が始まっているようです。兼松の台湾法人「台湾兼松股份有限公司」の薫事長/小野仁氏は電波新聞2009年3月24日付で「プリント配線板電子部品材料は、2月20日から緊急の注文が入り始めた。特に携帯電話関連の受注が増加している。ロットの小さいオーダーが多く、ぎりぎりの数量に抑えて注文しているという印象だ。今回の世界同時不況に対して、台湾企業は非常に対応が早かった。08年9月のリーマン・ショックから10日もたたないうちに、いろいろな手を打った。現在の台湾企業は、景気が回復したときに十分な在庫がないと他社にとられてしまうため、ここに来て在庫の積み増しに動いているようだ。・・・・予想外だったのは、米国今年2月小売が1月に比べて回復したこと、もう一つ意外だったのは、中国携帯電話PC薄型テレビノンブランド品(ホワイトブランド)品の需要が旺盛だということ。これに助けられている。中国の消費は好調だ。背景には、消費刺激のための政府による補助金政策があり、これに乗じてホワイトブランドメーカーが次々と増えている。」と述べておられました。
日本の電子部品産業が取り組んでいる“次の成長ステージへの準備”について、電波新聞2009年3月2日付は日系電子部品メーカーの09年総投資額について「昨今の電子部品の景況悪化により、不要不急となった投資を削減することで、09年の総投資額そのものは、減少するものの、成長分野に照準を合わせた増産投資や、最適地生産MIM(マニュファチュリング・イン・マーケット)のための新工場建設は、ほぼ計画通り進めていく見通しである。」と報道していました。
アルプス電気の沓澤相談役は電波新聞2009年3月12日付で「今年来年緊急課題としてできること全部をやらないといけません。次に、5年後から10年後にかけて成長が期待される非常に重要なアイテムはありますが、5年先、10年先に到るそれまでの5年間に一体どういう潜在需要があるのか、ということを掘り出していかないといけない。3〜4年後世界景気戻る時、我々がきちんと対応できるよう技術製品を生み出していけるよう、企業体質を変えていかねばなりません。みんな必死ですから、世界大競争時代に入ってきたということです。・・・・自動車産業は、今後の方向性がはっきりしています。一つは、小型車軽自動車二輪車という方向性。もう一つはエコの方向です。それしか生きる方法がないということで路線がはっきりしている。・・・・電子産業では大きな課題があります。需要構造の変化です。電子産業の一番の問題は、市場ニーズがコモディティ化してしまったことです。全体の8割を占めるコモディティマーケットである程度シェアをとっていかないと、我々は経営の規模を維持できなくなるという課題を抱えています。需要構造の変化としては、コモディティと中高級品、更に多様化もある。多様化では、例えば携帯電話では世代別の多様化があります。電機業界の技術は、今まで培ったアナログ技術やデジタル技術、情報通信技術、ソフトウエア技術などがあります。ソフトウエアも組込みソフトに加えてネットワーク・コンピューティングが拡大していく。これらの多層・複合技術は日本が一番強い。こういう技術で製品を生み出していくことになる。」と、また過去を振り返って3月11日付では「今回の不況世界同時不況ということで、これまでの不況とは様相が異なっている。グローバルエコノミーということで過去の状況と違う。技術的にも非常に高度で、頭脳で勝負する時代になってききている。電機産業戦後60年の歴史をみると、経済的な循環不況はありましたが、技術革新大型商品によって、15年から20年おき成長してきた。最初の1945年からの15、20年くらいの間は、真空管トランジスタに置き換わっていくエンジンで、ラジオテレコテレビステレオ、といったアナログ技術の製品が出てきました。続いてCBブームを経て、VTRコンピュータがでてきました。VTRはわずか10年で2兆円を超す産業にまで成長しました。背景にはトランジスタIC化がありました。次の90年代は、デジタル技術ソフトウエアの二つの技術によって、デジタル機器携帯電話液晶関連などが台頭し、ITブームによって右肩上がりの成長が続いてきました。そうした15年から20年おきの技術革新大型製品の登場で、これまで60年間にわたる成長が続いてきたわけです。」と述べておられました。
日本電気硝子の井筒雄三社長は電波新聞2009年2月27日付で「全部門にわたって厳しい状況。昨年夏頃に陰りだし、10月以降急転直下で悪化した。最終商品に近いところがブレーキを踏むと、素材に近づくほどブレーキの利き具合強烈になる。ガラスも素材なので、最終商品の落ち込みよりも下落幅が大きい自動車は底を打つ気配はない。FPD用1-3月が底かなという感じがする。FPD用は昨年6月頃がピークだった。この1年で、生産はピークに対し8割ぐらい、売上高は7割ぐらい戻る可能性があるとみている。工場稼働率も徐々に戻り、2年たてばピーク稼働率に戻るだろう。嵐の後の世界は、技術、品質の要求度合い、値段など従来とは大きく変わる。これまでのシェアが変わることもあるだろう。どの事業者にとっても、チャンスといえる。生産の形をマルチフィーダー化し、旧タイプの生産設備はフレキシビリティある生産設備に替えていく。いかに設備の汎用性を取っていけるかが大事だ。量のための設備投資は一段落した。今後は品質などの設備投資に力を入れていく。」と述べておられました。日本電気硝子は世界最薄30umの無研磨薄板ガラスの試作に成功しており、電波新聞2009年3月3日付は「液晶パネルのガラス基板と同様に溶融したガラスをそのまま薄く引いて薄板ガラスにする引き出し製造技術を使い、無研磨でガラス厚みを30umまで薄くした。1メートル幅の“ロール上のドラムで供給”できる。量産性の高いロール・ツー・ロール方式の製造プロセスによる生産が可能。今、1百社を超えるところが無研磨薄板ガラスでコンタクトしてきている。」と報道していました。
日本が強い金属素材の景況感について、日刊産業新聞2009年3月2日付は「自動車・弁バネ用鋼線世界シェア15%を持つ鈴木金属は、自動車向けをはじめとして需要が急減。主力のばね用鋼線の“足元の操業率”は“能力比2-3割”となっている。09年度中に需要家の在庫調整が完了すれば、7割程度には回復するとの見通し」と報道していました。今後伸ばしていく成長分野については、日本冶金工業の社長/杉森一田氏が日刊産業新聞2009年3月2日付で「収益改善では、受注・調達・製造・販売の各部門では納期短縮棚卸資産圧縮につなげることを第一に取り組む。一般材よりも販売量を維持できる高機能材では、継続的に取り組んできたことが実を結びつつある。高機能材は“環境・エネルギー・水”をキーワードに拡販しており“需要の伸びしろ”はきい。10年度までに単独売上高比率で高機能材を50%以上に引き上げる。・・・販売の現場力を一段引き上げる。販売の現場力とは“心・技・体”をキーワードとする。は顧客から信頼されること、は顧客のニーズを的確につかみとること、は営業のフットワークだ。高機能材につきものの溶接技術や材料の使い方、特性を適切に提案していくことが肝要だ。・・・総力戦の中で商機(勝機)は現場にある。需要の変化は各国、各ユーザーごとに違う。その変化をいち早くつかむことで成長する。」と述べておられました。
08年前半に照明デバイスのLED、08年後半から電子部品をシリーズで記述してきましたが、次頁からは、エネルギーと資源に係わる記述をスタートします。