青草新吾の惺々著考 glocaleigyo

生産財の青草新吾1はリタイア。シニアの青草新吾2は複業で貢献を目指す。

157-1/2.エネルギーデバイス

蓄電デバイスではリチウムイオン2次電池や電気二重層キャパシタ(EDLC)など、発電デバイスでは燃料電池太陽電池など、これらエネルギーデバイスは日本文明の伝統に育まれたマテリアル系の素材・部材技術に支えられています。

パナソニックリチウムイオン小型電池EV(電気自動車)や家庭用・蓄電装置として使える電池システムを発表しました。産経新聞2009年10月2日付で「既存の電池を使用するため製造コスト大幅削減でき、EV用バッテリーの製造コストとしては、現行製品の半分以下にできるという。システムは実用化されているノートPC用の1865(直径18ミリ、高さ65ミリ)140個を組み合わせて1セットにしており、出力は1.5KWH(キロワット時)。EV用だと8-40セット家庭用の蓄電装置は4-8セット電動二輪1-2セットで使用できる。パナソニックで電池事業を手がけるエナジー社の野口直人社長は“EV用は4-5年、家庭用の蓄電装置では1-2年で実用化に目処をつけたい。”と話した。 」と報道していました。163[2009.8]で高性能大型2次電池について記載しましたが、製造コストで半分というのはとても魅力があります。カスタム設計される大型電池とはスペース効率で適わないでしょうが、スペースに余裕があるEVや家庭用であれば、画期的な提案といえます。
163[2009.9]で新神戸電機産業用リチウム電池(大型電池)について記述しましたが、三菱重工も参入を発表しています。日刊産業新聞2009年8月27日付は「三菱重工は、2010年秋頃までに、長崎造船所内に量産化実証工場を建設し、稼働させる。年間生産能力は、中型電池換算約400千個に相当する66千kwH九州電力共同開発した電池をサンプル出荷してきたが、自社製フォークリフト風力発電設備などに組み込んで市場投入を開始する。実証稼働を通じてラインの稼働率確保、タクトタイムの短縮、電池性能の確認、原価低減などに取り組む。11年をめどに本格的な量産工場着工を計画している。本年10月1日付で、全社横断的なリチウム二次電池事業化推進室を、原動機と汎用機・特車の量事業本部の要員で構成し、立ち上げる。 」と、また日産英国EV用リチウムイオン電池年間60千個生産する計画を発表していますが、同紙同日付で「日産自動車の幹部がロイター通信に対し“英国で生産するEVが使うリチウムの量は、来年発売予定で出力24KWのリーフでおよそ4キロのリチウムを使う”と明らかにした。 」と報道していました。
薄膜リチウム2次電池の実用化動向に関し電子材料2009年1月号は「アルバックが開発した薄膜リチウム2次電池は、基板上に乗る電池層封止層厚み15umアルバックは、この薄膜リチウム2次電池一貫ライン販売開始した。価格は10億円で、年間1百万セル。2009年に3ラインの受注を見込んでいる。数年後には、1百億セル、1兆円規模の市場に拡大することを期待している。基本構造は、基板上にスパッタで正極集電層を成膜し、正極集電層の上に正極となるLiCoO2を成膜する。正極を結晶化させるためのアニールを経て、固体電解質となるLi3PO4を成膜する。最後に負極となるLi膜を蒸着して負極集電層を成膜し、封止する。」と報道していました。以下、電池部材について記載します。
リチウムイオン電池の主要部材であるセパレータに関し、フォーブス日本版2009年9月号は「旭化成は、リチウムイオン電池の基本特許を持つことで世界に知られるが、セパレータ世界シェア5割の企業でもある。自動車用バッテリーは極めて高い安全性が要求されるため、セパレータに関しても高安全、高性能、そして低コストが要求される。旭化成は極めて高い性能のセパレーターを安価に量産する技術で、世界のトップランナーの立場を強固なものにしている。同社取締役電池材料事業部長の太田哲朗氏は“セパレータを作るポリオレフィン膜生成技術については、旭化成は世界でも極めて高い競争力を持っていると思います。開発が進む自動車用リチウムイオン電池の市場は2010年以降、15年に向けて、飛躍的に伸びます。今後の需要動向を見ながら、生産能力の規模拡大にも柔軟に対応していきたい ”と話す。同社のハイポアの特徴の一つは、高強度であること。電池を薄くし、容量アップを図れる。二つ目の特徴は、リチウムイオン電池で課題とされる熱暴走・防止機能だ。ハイポアの場合、温度が過度に上昇した際、膜の微細な孔が熱でうまくふさがり、電池の反応を止めるという機能も備えている。・・・日刊自動車新聞記者の畑野旬氏は“BYD(比亜迪)をはじめ中韓の新興勢力も、安全性と性能を両立させたバッテリーを作るうえで、日本の材料メーカーからの部材を調達するのがベストと考えている。”という。 」と報道していました。同じくセパレータに関し電産新報2008年12月8日付は、上述の旭化成の事業展開に加えて、新規参入の三菱樹脂に関して「三菱樹脂三菱化学セパレータを共同開発、滋賀県長浜市の長浜工場で試作品の提供を行ってきたが、事業化のめどが立ったことから、10億円を投じて年産12百万m2の体制を整え、2009年中の本格採用を目指すこととした。・・・旭化成は、滋賀県守山市の守山工場に1百億円を投じて年産能力を1億m2から2009年度中1.5億m2に引き上げる。宮崎県日向市では60億円を投じて2010年稼働で日向工場建設を進めている。投資後の年産2億m2の能力に拡大する。加えて、旭化成ケミカルズは、滋賀県守山市の守山工場と宮崎県日向市で現在建設中の日向工場に合計90億円を投じて、2010年までに年産35百万m2能力増強を実施する。」と報道していました。ニッポン高度紙は、アルミ電解コンデンサ向けセパレータ世界シェア60%のナンバーワン企業ですが、このニッポン高度紙の新規参入について半導体産業新聞2009年4月22日付は「同社のリチウムイオン電池用セパレータはセルロースで、融点がないという耐熱性を持つ。一般的に、リチウムイオン電池用セパレータには多孔質フィルムがよく用いられている。これに対しセルロース系は、熱を加えても収縮しないうえ、電解液に馴染み易いという特徴がある。同社の代表取締役/鎮西正一郎氏によると、“08年に参入を果たしたリチウムイオン電池用セパレータを電池用セパレータ事業の柱へと成長させ、08年度の売上高見込み15億円は10%程度落ちそうだが、五年後には同事業売上倍増を狙う”と抱負を語っている。」と報道していました。「80年に製品化したEDLC用セパレータでは、主に円筒型EDLC向けに出荷しており、世界シェアはほぼ100%近い。」との報道を見たこともありますが、多分ニッポン高度紙のことであったように思います。
リチウムイオン電池電解液に関し電波新聞2009年7月23日付は「ダイキン工業リチウムイオン電池長寿命化が図れる電解液用のフッ素添加剤“フルオロエチレンカーボネート(FEC)”を大阪府摂津市の淀川製作所で来春から量産する。現在多用されているビニレンカーボネート(VC)に比べ、負極表面に長期的に良好なFEC被膜を形成でき、電解液の分解による電解液劣化抑制できる。・・・同社は、今回のFECのほか、研究開発中の正極用バインダなど、数種のリチウムイオン電池用のフッ素化合物11年度年間約30億円の売上を目指す。 」と紹介していました。
リチウムイオン(LIB)電池のアルミ箔包材世界トップ昭和電工について日刊産業新聞2009年8月3日付は「昭和電工は、LIB電池の包材(アルミ箔)では、世界ナンバーワンシェア(50%超)を確保。電池マーケットはさらなる拡大が見込まれており、無機・金属・有機の技術融合などで“面”によるアプローチを進める。ハイブリッド車パワー半導体冷却器は、エコカー減税の追い風もあり、フル生産体制を整備。今後は電気自動車も含め、供給を拡大していく。」と報道していました。リチウムイオン電池の正極活物質の主原料となるリチウム資源に関し日刊産業新聞2009年7月9日付で「三井物産は8日、カナダリチウムコープ社(トロント)から日中韓3国向けリチウムの独占的マーケティングを取得したと発表した。カナダリチウムコープ社は、ケベック州でリチウム鉱山を再開発しており、2013年から商業生産を開始予定。リチウム純分ベースでは、年間約2千トン(炭酸リチウム10千トン)の生産を見込む。リチウムは生産量・埋蔵量ともにチリ、アルゼンチンなど南米諸国が世界の50%以上を占め、供給先の多様化が課題だった。」と報道していました。
充放電デバイス2次電池ではありませんが、発電デバイス燃料電池に関し、昭和電工燃料電池用で出力密度を大幅に向上できるカーボンセパレーターを発表しています。日刊産業新聞2009年7月24日付は「昭和電工は23日、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援を受け、固体高分子型燃料電池(PEFC)の出力密度が同社試作品より約30%増加するカーボンセパレーター製造のコストダウンに成功したと発表した。・・・今回、同社はホウ素を添加したカーボンを原料として製造した2枚のセパレータ板を“特殊な接着性樹脂を使用することで、高精度熱溶着させる技術”を確立。水素ガス通過面(アノード側)、酸素ガス通過面(カソード側)及び化学反応の結果生じる発熱を抑えるための冷却水路を一体化したカーボンセパレータを開発した。同社はまた、焼結カーボンと同等の導電性を持つ集電板の開発にも成功している。 」と報道していました。