青草新吾の惺々著考 glocaleigyo

生産財の青草新吾1はリタイア。シニアの青草新吾2は複業で貢献を目指す。

98-2/3 蓄電デバイスで電気二重層キャパシタ

電気二重層キャパシタは、2次電池アルミ電解コンデンサーの間に位置するといえ、車載向けなど大型の開発と実用化に加速度がついてきました。

電気二重層キャパシタ(コンデンサ)は、小型では既にモリーバックアップ電源として電話機や無線機、AV機器などで普及していますが、大型(大容量キャパシタ)の本格的な市場創造はこれからという点ではリチウム電池と同様です。
電池キャパシタ違いに関し、筆者/青草新吾は「電池は川上の水源側の貯水池やダム、キャパシタは川中の河川の治水・水利や砂防のための堰(ダム)」とイメージしています。2次電池は、エネルギー密度(容量)で優れていますが、反応の時間(汲みだす手間と時間)がかかります。電気化学反応で活物質(貯水池)から電気を取り出すからです。一方、キャパシタは、出力密度充放電特性(急速充放電・充放電耐用回数)などが電池よりも優れています。物理現象(吸着・脱離)を利用して電気エネルギーそのまま電荷を上述の堰に相当する静電容量(キャパシタンス)で蓄電するからです。
以下大雑把な一般論ですが、鉛蓄電池を1と見立てた場合の性能イメージで、エネルギー密度は、鉛蓄電池(1)>電気二重層キャパシタ(1/2)>アルミ電解コンデンサ(1/200)です。キャパシタは上述通り出力密度に優れており、電気二重層キャパシタ(2-5)=アルミ電解コンデンサ(2-5)>鉛蓄電池(1)です。電気二重層キャパシタ(EDLC)は、誘電体(絶縁体)を極限まで薄くして電気二重層物理的現象を利用して静電容量最大化することでアルミ電解コンデンサの100倍=二次電池の1/2にまで容量を高めています。
大容量電気二重層キャパシタでは、ニチコン日本ケミコンTDK指月電機製作所、[[エルナー]]、NECトーキンルビコン日新電機、などが商品を発表しています。
異業種からの参入ということでは、JSR日本ミクロの両社が持分法適用で合弁のJMエナジーを設立しリチウムイオンキャパシタに参入するそうです。リチウムイオンキャパシタ正極活性炭負極リチウムを坦持したカーボン材料を用いる新しい構成のキャパシタとありますから、リチウムイオン電池の要素も取り入れたキャパシタといえます。JSRについては83[PDPレジスト]、86[位相差フィルム素材]、91[液晶パネル]で前述しましたが、電産新報2007年7月30日付で「JSRは日本ミクロコーティングとリチウムイオンキャパシタ事業の合弁(JMエナジー)を設立し、2008年7月から量産開始する。年間300千セルで立ち上げ、2010年には2百万セルに増強する。2010-2015年には5-10百億円の市場規模が見込まれる。日本ミクロは、独自のコーティング技術を応用して同キャパシタ向けの電極塗布技術を開発したほか、富士重工業から技術供与を受けてリチウムイオンキャパシタの実用化を進めてきた。」また電波新聞2007年7月27日付では「リチウムイオンキャパシタは、従来の電気二重層キャパシタをエネルギー密度、定格電圧で上回っている。JSRは環境・エネルギーを次期成長事業分野と位置づけ、燃料電池電解質膜やリチウムイオン電池用材料などで採用実績を上げている。キャパシタ事業本格進出で、材料開発の効率化などシナジー効果に期待している。」と報道していました。