青草新吾の惺々著考 glocaleigyo

エコシステム型の生産財営業でイノベーション共創と好社会を目指す。

169. 会社は「稼いで分配する」仕組/ 官製不況に負けない経営

挙国一致で日本国の経済と雇用を盛り上げて欲しいものです。自民党政権下では高度成長から低成長へのシステム変更の多くで不作為だったことから公的債務が膨張してしまいましたが、今の民主党政権も“稼ぐことよりもばら撒くことばかり”に熱心に見えます。

新聞報道によると、日本企業国外事業の全体について95年08年時点で比較すると、日本企業の海外現地法人雇用者数は、2.33百万人から4.52百万人へ、年間設備投資額は1.7兆円から3.6兆円へと、順調に拡大してきているそうです。日本企業が国外で積み上げた内部留保20兆円日経新聞が金融と新興市場を除く上場660社の10年3月期決算を集計したところでは、営業利益の国内と国外の内外比率に関し、660社の中で245社が、営業利益に占める国外比率が国内を上回る内外逆転企業が、5年間で4倍に増えたそうです。資産の内外逆転では、660社の中で45社が、資産に占める国外比率50%越えだそうです。
日本の製造業のASEAN直接投資残高は、08年末で約6兆円対中投資残高を約4割上回っているそうです。筆者/青草新吾は、今、バンコク(曼谷)のホテルに短期滞在していますが、リーマンショック以降、日本企業のタイ王国(泰国)への生産シフト急増していると多くの現地関係者から聞きました。近隣のアセアン諸国でも同様と聞きます。多くの心ある日本人ビジネスマンの方々が「このままでは子供や孫の時代の日本はどうなっていくのだろう?」と忸怩たる思いを秘めながら、今と近未来での生き残りのために懸命に国外シフトを進めています。子供や孫の世代に多くのツケ回しをしていく政治には終止符を打って欲しいものです。最も重要なセーフティネット失業対策では、公共投資による間接的な雇用政策や企業経由の失業保険よりも“失業者本人へ直接給付”を行う仕組みの充実を図るべきと考えます。失業でピンチに陥った個人に対する救済としては、公共投資よりも効果的です。一人当たり1百万円1百万人に支給しても1兆円です。自民党は、これを玉石混合の公共投資に置き換えたことで、役人(官僚と官公労)や既得権益事業者中抜きが横行し、膨大な公的債務を積み上げてしまいました。社会保障では、174[2010.6]で前述したように“政府個人直接に係るシステム”に改善し、“官から企業への丸投げ”を止めること。生活保護など、低所得層への支援は“負の所得税( 給付付税額控除 )”に変えること、税制は、世界で一番の重税となっている法人税所得税を軽減し、消費税と生活住居以外の資産税のウエイトをもう少し高めてバランス良くする事、成長戦略では、“お金を使わない成長戦略”、即ち“税制見直し規制撤廃規制緩和”を最大限に行うこと、日本の政策を誤らせ続けてきた農業については、農業を産業として位置づけ産業振興の施策を増やすとともに農業有力な輸出産業に育て直すこと、経費削減ということでは民間企業が何度も経験してきたように、地方公務員を含めると年間30兆円といわれる公務員人件費を見直し、一人当たり賃金も大企業に連動した水準を改めて、納税者の平均所得の水準に近づけること、・・・・等々。
例えば農業について、コメ問題が最大の障害らしいのですが、日本は主要貿易国の米国や中国とのFTAの締結ができていません。日本はアセアン諸国とはFTAを締結していますが、アジアから世界をみるとFTA締結で韓国や中国に先をこされたようでもあり、
アセアン(東南アジア)で働く日本人ビジネスマンの方々の多くが“FTA(Free Trade Area)で、日本だけ取り残されてしまった。”ことへの懸念口惜しさを口にされます。日本政府が内部事情のコメ問題が障害となり、FTA締結に進まず、韓国中国先を越したようにみえます。日本の農業政策はあまりにも内向きです。月刊「農業経営者」の編集長で、「日本は世界5位の農業大国」*1の著者でもある湯川芳裕氏は、VOICE(2010.7)で、「日本の農業生産8兆円世界5位なのに、農業関係のよい数字隠されたままです。補助金など止めて何でも作っていい”ことにすべきです。例えば、野菜関税3-5%ですから、すでにほぼ自由化済みといえます。これだけ低い関税でも日本の野菜農家生き残ってきたのです。農家経営者であって、製造からマーケティングまであらゆることを自分で考えられるクリエイティブな仕事なのです。しかるに政治が絡むことで日本の農業政策では、国が経営者で、農協が中間管理職農家が労働者であって“上に従え”という論理です。問題なのはコメです。政府は、高い関税率補助金といった“見せかけの保護”や“規制”で停滞を招き新分野育成を妨げ、振興策を装った“安楽死政策”を実行しているのです。コメの輸入制限ペナルティで年間700-800千トンのコメを輸入している。いったい何をやってるのか。さらに可笑しいのは勝手に“コメの需要は伸びない”と決め付けて、官製市場を作って補助金バラマキを行っている。年間2兆円の官製市場に補助金1兆円をつぎ込むなんて、どう考えても歪(いびつ)過ぎる。・・・農政の目的は“農家の所得を都市住民並みにする”ことでしたから、農家の所得都市部を上回った今、農水省お役ご免なのです。仕事を作り出すために始めたキャンペーンが“カロリーベースの食料自給率”なるロジックで、5年先まで予算閣議決定されています。・・・農水省の職員とは、カネを配る事務屋であり、地方の農政局とは、中央から降りてきたカネ配っているだけです。・・・“政府農水省仕事”は、検疫を含めて農産物と家畜が経済的に生産され流通するための“制度設計”であって、農家保護でも消費者保護でもありません。 」と、また、明治学院大学教授の神門義久(こうどよしひさ)氏は、WEDGE(April 2010)で、民主党が選挙目当てで発動した偽装農家(アルバイト農家)に対する戸別所得補償には、一に“無謀な財政投入”、二に“農業技術の喪失”、三に“国際的信用の失墜”という三つのリスクがあると指摘しておられます。曰く「真正農家は、貿易自由化時代に生き残るための国の宝のはずである。ところが現実は、農業に打ち込んでいる少数の真正農家を、農家の多数派である偽装農家邪魔者扱いする事例は枚挙に暇がない。例えば、多数派を占める偽装農家が、住宅開発を見込んで、農水省補助金事業農道拡幅を推進し、少数の真正農家の反対封殺している。住宅地に変容すると真正農家は、新住民の苦情で農薬もまけなくなってしまう。多数派偽装農家の利益が最優先され、技術も意欲も持つ少数派の真正農家のことなど二の次になっている。・・・・品質に拘らなければ、稲作素人でもできる。それを手厚く保護する理理があるだろうか。コメしか作れない未熟な偽装農家へのバラマキで彼らの票を買うという選挙戦術ではないのか?」と述べておられましたが、同感です。このようなコメに連なる既得権益のために、貿易の交易条件を著しく不利にすることで、日本の経済低迷がますます悪化していくことが、不作為で放置されたままです。日本政府には、“FTA締結取り残され”ていくことで“日本経済ますます不振になっていく”ことへの危機感が希薄なようです。
アセアン(ASEAN)では、AFTACEPT( Agreement on the Common Effective Tariff ) により、泰国星国(シンガポール)、馬国比国尼国(インドネシア)の先発加盟6カ国2011年1月1日から未加工の農作物を除く約8千品目の製品の関税撤廃が実施されます。日本企業との競争が高まっている韓国企業を応援する韓国に加え、中国印度までもが、アセアンとのFTA(自由貿易協定)を締結しています。アセアンと中国、アセアンと印度の経済活動はますます活発となり、市場が拡大していきます。一方で気になるのは、日本からの輸出です。製品そのものは日本からの輸出でも十分にやっていけるのに、関税障壁などを理由に国外シフトしていかねばならないのは、FTA貿易が主流となりつつある今となっては惜しい気がします。輸出主要国の米国や中国と締結していない日本からの輸出とても不利な交易条件を強いられることが多くなります。日本からの輸出は、FTA締結していないことで著しく不利になる上に、あまりにも急激な円高が追い討ちをかけています。
日本政府には、今からでもFTAEPA(Economic Partnership Agreement)の各国との締結で挽回して欲しいものです。貿易統計2009年をみると、日本の貿易実績 58百億ドルの内訳は、中国 10.9百億ドル米国9.5百億ドルアセアン8.0百億ドルEU27 7.2百億ドルなので、アセアン14%を占めています。消費市場の規模としてのアセアンは、アジア開発銀行(ADB)の発表では、アセアン主要5カ国のGDPは合計で約1.3兆ドルで、印度をやや上回る経済規模ということです。

*1:「日本は世界5位の農業大国」湯川芳裕著 ISBN:9784062726382