2013-06-23 190-1/2 アベノミクスで世界に貢献、慰安婦問題のとげ
世界の有識者の多くが”デフレと戦うアベノミクスのリフレ政策”を歓迎しています。同時に”本当に改革できるのか?”と不安げでもあるようです。世界3位の経済大国である日本がアベノミクスのリフレレジームで復活することは、世界経済に良い影響を及ぼします。しかし歴史を振り返ると楽観はできません。
歴史は繰り返すといいます。正確には「似たようなことがスパイラルに質と次元を変えて起こる」ということです。筆者/青草新吾は、アベノミクスをエンジンにした「デフレ脱却」を確実なものとし、強いニッポン経済の復活を期待しています。懸念材料は自民党内部の既得権益層を支持母体とする守旧派と、官公労や大学の進歩派言論人などを代表する立場をとることが多い朝日新聞などのメディア報道です。
昭和恐慌の大デフレ不況では、高橋是清がリフレレジームへの転換をリードし不況から脱出しました。その功労者の高橋是清が暗殺され、軍官僚が勢力増大し、軍部権益の拡大とともに、無謀な戦争へと深入りしていきました。当時の軍官僚は今の財務官僚に似た位置づけかもしれません。
産経新聞ニューヨーク駐在編集委員の松浦肇氏は産経新聞2013.6.9付で「ニューヨークの識者に共通するのは、アベノミクスの成否は三本目の矢、成長戦略と構造改革の中身次第ということ。・・・成長戦略の成否は、太平洋戦争の趨勢を決したミッドウエイ海戦に等しい重みがある。ミッドウエイの主な敗因は(優先順位の誤りで)、米軍空母を攻撃する航空隊が兵装転換で遅れて活かせなかったことだった。」とJA農協や医師会などの既得権益集団の構造改革妨害に懸念を示しておられましたが同感です。米エコノミストのアントワン・ファンアットマール氏は、投資の世界で「新興国市場」(Emerging Market)というキャッチフレーズを紹介したお方ですが、日経2013.6.13付で「今の日本が、アベノミクスを通じて実力以上の為替相場を修正するのは正しい。日本と並ぶ有力輸出国の独は、南欧情勢を懸念するユーロ安で恩恵を受けている。・・・中長期で日本に重要なのは”教育”でしょう。若者の創意工夫を重視して活かしていく教育改革が欠かせない。米国のように優秀な移民を受け入れて国力を底上げしていくのは現実的ではなさそうですから。」と述べておられましたが、世界の主要な有識者の見方もこのようなものでしょう。
「デフレが何故悪いか」といえば、「物価下落以上に、民間勤労者の所得が減るから」です。例えば、1997年対比で2012年は「物価下落3.8%に対し、平均家計収入下落5.7%で、物価下落よりも家計収入下落の方が大きく上回って」います。景気や業績とは無関係に給与が安定している官僚・公務員なども含めての平均ですから、民間勤労者の家計収入下落率はもっと大きな数字となります。デフレ利得者は「景気や業績とは無関係に給与収入が安定している官僚・公務員、補助金を通して税金を吸い上げる農協などの既得権益層」です。日本の場合には、GHQ軍事占領下で利益を享受した「GHQ利得者」が今でも既得権益集団の主要な部分を構成しています。144[2008.10.25]で前述しましたが戦後のGHQ軍事占領下で「戦争贖罪意識宣伝計画 War Guilt Information Programa」や検閲に積極加担した朝日新聞やNHKなどもGHQ利得者です。
消費税増税は、脱デフレがしっかりと軌道に乗るまでは封印し、消費税増税を控えるべきです。失敗事例が1997年の消費税増税です。バブル崩壊不況からようやく立ち直りだした1997年、少し経済が上向いたとはいえ、まだ軌道に乗ってはいないタイミングだったのに「増税を自分の手柄にしたい財務官僚」にそそのかされた橋本政権が「性急な消費税増税を決行」し、以降、日本はデフレ不況の奈落の底に落ち込んでいきました。目先のことしか考えない財務官僚や当時の日銀の好きに任せた結果、「デフレで雇用が悪化」し、納税者である「民間の勤労者が貧しく」なりました。 グローバル競争にさらされている企業も個人も、1997年の「性急すぎた消費税増税を起点としたデフレ不況」で、企業も個人もダメージを受けてきました。反対に景気変動や自由競争とは無関係に安定した収入をえる公務員や補助金に群がる既得権益層の多くが「デフレでより豊かになった」ものと思われます。
リーマンショックでは「震源地でもない日本が、震源地の米欧よりもはるかに打撃を受け」ました。そのリーマンショック後は、相対貧困率も高まっています。今や年収2百万円以下が3割といいます。財務省出身の自民党有力者を代表する与謝野馨氏はリーマンショックについて「蜂に刺された程度」とうそぶきましたが、実体経済を判ろうとしない方々の理解はこんなものだったのかもしれません。「東大法卒の知識としての経済を知るのみで、実体経済に無関心で、足し算引き算の机上の財政しか頭にない財務官僚」の試行事例の典型ではないでしょうか。
日本の不況の裏でうごめいてきた面々に関し、歴史通2013.7月号で、上智大学教授の渡部昇一氏は「日本の20年間の不況の裏に審議会あり」と、また内閣官房参与の浜田宏一氏は「審議会に記者クラブを加えるべし。官僚が配る資料や考え方をそのまま鵜呑みでしゃべるようになるからです。日本がうまくいかなくなったのは、堺屋太一さんの言葉でいうと、”巨人・陸軍・国鉄シンドローム”で説明できるのではないですか。硬直化した組織を(そのまま改善改革もせずに)動かす面々」と述べておられましたが、筆者/青草新吾も同感です。
硬直化した組織ということでは、2006年頃には、小泉政権の「構造改革なくして景気回復なし」で景気が浮揚し始めたら、喉元過ぎればで改革機運が薄れて、せっかくの景気浮揚を押し下げて、2007年のリーマンショックに見舞われ、デフレスパイラルに戻ってしまいました。このような閉塞感が漂う中で「明治以降の統治構造改革、その代表事例で道州制」を訴えてきた橋本徹現大阪市長と維新への期待が高まりました。現に大阪府庁を改革し、その改革リーダーシップは大阪市の改革でも期待されています。しかし橋本徹氏は余計なことまで口を滑らせる傾向がおありのようで、今回の慰安婦発言では、これまでに同氏に凹まされてきた朝日新聞や既得権益層からの逆襲で凹まされた感があります。かっては第1次安倍政権が朝日新聞の執拗な攻撃報道で失速し、2007年8月に退陣を余儀なくされました。その後は麻生内閣から民主党内閣へと第一次安倍内閣の退陣後は、かえって事態は悪化していきました。今回の第2次安倍内閣は第1次内閣で朝日新聞の報道攻撃で足をすくわれた経験を活かしています。橋下大阪市長も見習ってくれればと期待します。左翼既得権益層のご本家である朝日新聞を甘くみないことをお勧めします。まだお若いので、是正改善を進めて態勢を整え直して欲しいところです。・・・橋下慰安婦発言の最初の部分「慰安婦を国が強制連行したという証拠はなく事実ではなかった」のという点は間違ってはいません。せっかくの発言を余計な発言で台無しにしてしまったこと、とても惜しかったです。よって深慮遠謀が求められる政治家としては未熟すぎますが、まだお若いので立て直しの時間をたっぷりとお持ちです。ですから当初の「改革者としての期待」は残っています。是正改善と初心貫徹で頑張って欲しい。
中韓両国が「日本を世界から孤立させようとするネタ」が米国を舞台にした慰安婦問題です。朝日新聞や社会民主党、人権派弁護士集団などが中韓の反日勢力と呼応して捏造歴史を世界に流布しています。日本政府や民間の保守系団体は、「事実に基づく説明」を英語で世界に向けて発信していくべきです。 日本の「保守を自称される方々の多く」が「余りにも世界音痴で内向きな内弁慶」にすぎます。世界、特に米国人の文化と思考回路を理解しながら英語で発信していく努力を強化すべきです。
産経新聞ワシントン駐在客員特派員の古森義久氏は本日2013.6.23付産経新聞で「(慰安婦問題は)黙っていても嵐は去らぬ」と題し「米国現地の日本非難の動きを20年近く報道してきた体験では、日本が事実のミスに反論せず、黙って頭を下げれば下げるほど、不当な糾弾が高まっていくという現実を目撃してきた。1983年に証拠のない日本軍の大量強制連行説を自虐的に受け入れて謝る河野談話が出てすぐ、米国では慰安婦問題ワシントン連合という組織が登場し、日本軍による200千人の性的奴隷という宣伝活動を連邦議会や大学で始めた。この組織が起こしたワシントン連邦地裁への訴えは、最高裁まで持ち込まれて完全却下された。米国政府も裁判の過程で講和条約で解決済みとする見解を公式に表明した。米国の司法と行政で両方から否定された日本攻撃活動は、残る立法府をその舞台に選んだ。議会のこの動きの主役は世界抗日戦争史実維護連合会という在米中国系団体で、マイク本田氏は献金を受けてきている。この団体は河野談話が出た翌年に結成されている。明らかに日本を叩き続けることが目的の反日団体である。米国での慰安婦問題での日本叩きは、こうして日本側が濡れ衣を甘受し、日本側が最も従順な時期に勢いを増してきた。黙っていても嵐は去らないのである。」と寄稿しておられました。
145[2008.11.08]で前述しましたが、1983年に捏造話の偽書「私の戦争犯罪-朝鮮人強制連行」を出版して一躍時の人になった下関共産党系の吉田清治氏は1988年に「こんなに大問題になるなんて。人権屋に利用された自分が悪かった」と後悔していたそうです。当時の韓国現地の済州島新聞までもが「現地を調べ尽くしたがそんな事実はでてこなかった」と結論づけて発表してからも、同氏の捏造話をセンセーショナルに報道した朝日新聞やNHKは訂正報道をしていません。朝日新聞に至っては「嘘の上塗り報道」を繰り返してきています。「強制連行は事実としてあった」と主張する国連人権委員会などが根拠としているのが、これらの捏造本と朝日新聞の記事というのですから何をかいわんやです。
今はまずアベノミクスの第三の矢(構造改革)へとニッポン復活への歩みを進めて“日本経済のデフレ脱却を確実に”実現して欲しい。問題を「次世代の若者に先送りするような政治」は止めて欲しい。軍事力で制限がある日本は「まずは強い経済力を取り戻す」ことが必要です。併せて「ソフトパワーと草の根の国際化」、ここでは相手国の方々の思考回路を理解しながら、相手が理解しやすいようなロジックで英語で発信していく国民的努力に参加していきたいと考えています。中国共産党と韓国の政治家は「日本を世界から孤立させる」という活動を続けています。戦前の日本は、ソ連コミンテルンや中国国民党との世界を相手にした情報戦・世論戦で負けて、世界で孤立して日米開戦へと追い込まれていきました。世界に発信力がある米英仏での対日理解が重要です。次月2013年7月21日の第23回参議院選挙では「デフレ脱却による世界に貢献するニッポン経済の復活」と「反日歴史捏造勢力に凹まされない“平和希求国家ニッポン”の世界への一層の浸透」、より豊かなニッポンを実現していくことを通しての次世代若者への応援、老人力全開でシニア層が輝くニッポンへと進んでいく意思をお持ちの方々が一人でも多く当選して欲しい。日本弱体化の先鋒でもある「GHQ利得者を含む、税金を吸い上げようとする既得権益集団」は税金バラマキへの動きをもっと遠慮して控えて欲しい、と切に望むものです。