青草新吾の惺々著考 glocaleigyo

エコシステム型の生産財営業でイノベーション共創と好社会を目指す。

トヨタ方式について、若い時分にトヨタ関連で取引を経験した際に断片的に学ばせてもらいましたが、故大野耐一氏*3が切り開いた運動が、最近はホワイトカラー部門でも展開されるようになってきたようです。故大野耐一氏の「脱規模の経営を目指して」「日本の風土に根ざしたオリジナルの方法」の経営哲学が企業のホワイトカラーのルーティーン部門にも浸透すると、ホワイトカラー部門の組織能力が更に高まり、少なからぬ日本企業の助けになると思います。

以下「トヨタ生産方式大野耐一著1978年の抜粋

喜一郎氏がだれよりも熱心にアメリカのGM、フォードに学ぼうとしたのは、自動車工業の基礎を一刻も早く学びとろうとしたからである。アメリカの自動車産業から基礎を学び、日本との比較材料を得、日本式の自動車製造法を探求したことは明らかである。167頁

トヨタ生産方式なるものは、戦後、日本の自動車工業が背負った宿命、すなわち“多種少量生産”という市場の制約のなかから生まれてきたものです。欧米ですでに確立していた自動車工業の大量生産に対抗し、生き残るため、永年にわたって試行錯誤をくりかえしたすえに、なんとか目処のついた生産方式ならびに生産管理方式です。まえがき

市場の需要予測から生産計画を立てても、現実には数量が増減したり、品種が入れかわったりすることは日常茶飯事のことである。・・・中略・・・ものごとを、決めたとおりなにがなんでも動かしてしまうという考え方は、たとえていえば、統制経済・計画経済のやることである。91頁

ただ時流にのることばかり考えていると、いったん量の経済が頓挫するとどういうことになるか。・・・・中略・・・自動機は「定員でなければ運転できない」という欠点を備えている。トヨタ方式がつぎに取り組んだのは定員制の打破であった。これが「少人化」と呼ばれる考え方である。209頁

一時よりは落ち着いたもののトヨタブームということで「結果を見ての後講釈の類(解釈本)」が出回っていますが、やはり開祖の原典を読むのがベターかと思います。次に読むならば、やはり開祖の志をついで進化発展のための貢献を続けてこられた方々。筆者も大野耐一氏から直に指導を受けた経験をお持ちの方からお話しを聞く機会があったのですが、この系譜の方々は「明快なコンセプトで判りやすく説明する」ことにもかなりのエネルギーを割いて努力をしてこられた方々なのだろう・・と感じました。

屋台方式セル生産方式の草分けで現役続投中の山田日登志氏(岐阜のPEC産業教育センター)は雑誌でもよく寄稿しておられるので読む機会もありますが、単行本であれば、若松義人・近藤哲夫の両氏「トヨタ式ひとづくりモノづくり」*1。若松氏は、文庫本*2でも出版してくださっているので、乗り物の中で読むのに便利です。

ホワイトカラー部門への展開ということでは、矢崎総業トヨタ方式を推進された経験をお持ちの石橋博史氏「可視経営*3が大変に参考になりました。同じく柴田昌治・金田秀治の両氏の著書「トヨタ式最強の経営」*4ではトヨタ自動車九州の「2時間ローテーション」や「トヨタと同じモノづくりをしてはならない」等々、トヨタ方式の進化発展の記述もあり、これらはホワイトカラー部門でも使える発想なので参考になると思います。

尚、日本の自動車産業を20年以上も継続調査してこられた藤本隆宏氏の著書「能力構築競争」*5は、[組織能力・深層の競争力・表の競争力・財務結果]の視点からの素晴らしい研究成果であり、別の機会に触れたいと思います。

*1:トヨタ式人づくりモノづくり」若松義人・近藤哲夫共著 isbn:4478373523:

*2:「『トヨタ流』自分を伸ばす術」若松義人著。 Isbn:4415069703 他で著書多数。一読したものすべて一貫した内容で氏のライフワークの志を感じました。

*3: 「可視経営」石橋博史著。 Isbn:4861301025

*4:トヨタ式最強の経営」柴田昌治・金田秀治共著。 Isbn:4532149231 

*5:「能力構築競争」藤本隆宏著 isbn:4121017005