164-1/2.電子部品と部材・素材 /iPadやスマホ
iPadやスマートフォンの普及は、電子部品と電子デバイス、それらで使われる部材・素材にとって新たな需要を生み出しています。
筆者/青草新吾自身は、IPadには携帯電話端末の普及が始まった頃のような革新性を感じますし、スマートフォンには、ノートパソコンと通信端末の融合技術がスパイラルアップしてビジネス現場でも“知識の電子化”と“知識の外部化”が始まった頃のような広がりを感じています。通信技術と携帯端末と様々な電子部品やデバイスの融合がもたらすイノベーション(新結合)が加速しています。
板状コンピュータと表現されるアップルのiPadは、イノベーションのスパイラル展開のエネルギーを彷彿とさせてくれます。既存製品とは異なるコンセプトの製品が発表されることで、創造欲に燃える人々の想像力が掻き立てられて、新しいアプリケーションが誘発されていくスパイラル展開による進化です。
米アップル社のiPadを分解したレポートを半導体産業新聞2010年6月2日付が「iPad分解作業で解ってきたことは、iPhoneとかなりの設計が同じであることだ。共通部品が多い。IPadとはiPhoneの大型版と言ってもおかしくない。ネットブックPC、デジカメ、ゲーム、PND、などの既存市場を取り込む可能性が見えてきた。・・・・・IPhoneは部品点数1000点で$170の部品が搭載され、iPadは1300点で$250。IPhone販売価格が$499なので、原価率51%となった。ハードでも利益が出るようなコスト構造になっている。注目したいのは、主要半導体のグロスマージンで、殆どの製品が50%以上もあることがわかった。・・・・・半導体メーカーも利益を出して次の投資ができるように、WinWinの関係を構築できているとみられる。必ず購入するアップルユーザーが1百万人はいるということで、開発費回収する目処が立てやすい。・・・・アップル社は、中国で製造しているが、調達部品の検収は「完成品製造後」の「完成品出荷検査後」としているようで、部材の在庫を殆ど持たないサプライチェーンを構築できている。在庫リスクを持たないことで、トータルなコスト削減を実現できている。」と掲載していました。
スマートフォンが、車載機器市場にも入りだしています。欧米では車載ナビはPNDが中心ですが、スマートフォンに入れ替わってしまうかもしれません。ゼンリンなどのナビソフトメーカーの提供ソフトで、スマートフォンでもPNDと同等の性能を得られるからです。スマートフォーンに搭載される半導体デバイスについてエルピーダメモリの坂本幸雄社長は、DRAMの一種であるDDR(Double-Data-Rate)について 「ようやくエルピーダの時代が来た。スマートフォン向けではDDR1の2Gビットが搭載されているが、今年2010年の後半からはDDR2の4Gビットに移行していく。今のところ、DDR2を作れるDRAMメーカーは、エルピーダのみ。・・・・DRAM業界では、過去は9社もの企業がバラバラで競争していたが、今はエルピーダ、サムスン、ハイニックス、マイクロンの4社に台湾のパワーチップとナンヤが加わる格好。台湾勢の競争力が相対的に低くなった。・・・・スマートフォンに加えてテレビも2Gから4Gビットへ大容量化が進む見込み。 」と語っておられました。
一昨日の2010年6月17日に富士通と東芝が、携帯電話事業の統合を発表しましたが、電波新聞2010年6月18日付は「富士通と東芝の両社は携帯電話やスマートフォンの開発基盤を一本化して、国内外での展開を強化する。東芝は、欧州向けにクアルコムのモバイル機器用チップセット“スナップドラゴン”を搭載したスマートフォンを発売するなど、世界市場を意識した展開を進めている。」と紹介していました。