青草新吾の惺々著考 glocaleigyo

生産財の青草新吾1はリタイア。シニアの青草新吾2は複業で貢献を目指す。

2006-01-01から1年間の記事一覧

経済のグローバル化と日本国の投資環境に関し、多くの日本企業が「公的セクタの不利を民間セクタの利点で補う」ことで国内生産のスクラップアンドビルドを否応なしに進めてきました。

グローバル競争の上では、日本は公的セクターの法人税やインフラ使用コストが高くて不利ですが、民間セクターで、各企業組織による独自能力を発揮した強い製品の開発や、日本文明が育んできてくれた質が高い労働力と産業集積など、先人の営みの積み重ねの御…

中国の工業力を底上げしているのは「米国・台湾からの帰国ラッシュと人材流入」及び「台湾企業による中国生産の拡大」など・・の複合効果が大きく、台湾企業は中国の安価なインフラコストを活用して生産拡大を進めています。

上海地区のインフラコストに関し、Electronic Journalでみずほ証券のShun Cai氏が「法人税は台湾25%、中国15%、電力料金は台湾よりも中国が高く、高い中国で日本の半分、停電が少なく、万一の場合は自己発電で対応可能、上海の水道料金は台湾の6割で日本の3…

経営プロの能力開発とMBA教育に関し、現ミスミ社長の三枝匡氏、経営学の大御所Hミンツバーグ教授、対人思考力のカテゴリーを切り開きつつある船川淳志、の見解は、経営プロと同様に身体知と心技体が重要な営業プロ上位者の能力開発の参考になります。

現ミスミ社長の三枝匡氏*1は「経営プロとは、修羅場経験を乗り切り因果律への洞察力を身につけた人材」だが、経営プロを育成するためのMBAに関しては「今のMBA教育は現場経験が浅い若者には面白くても、経験豊富なプロには物足りない」と感想を述べておられ…

経営者と営業パーソンの能力と資質に関し、身体知や情報に対する知覚能力が大切で、検証のために数値やデータを活用します。経営判断や営業判断では「データや数字は大切ですが、判断の一つの材料」でしかありません。

トヨタ生産方式の開祖の故大野耐一氏*1は「データは大切であるが、それよりも現場の現実と事実の方をもっと重視する」と述べておられます。一般的に日本人が弱い事実に基づく判断を定着させたところにトヨタ生産方式の偉大さがあると思います。 事業が拡大し…

中小企業の経営者のパワー配分の目安に関し、竹田陽一氏は著書*1で「手段に過ぎない資金や会計は1割以下、人事などの組織対策で1割強、商品対策で3割弱、営業関連対策で5割強」を推薦しておられます。

上述の永守創業者の著書で「十年前には、どこも相手にしてくれず、頭がおかしいのではないかといわれた理想が、着実に実を結ぶようになってきたのである。・・創業時代に入社してきた新卒の社員が、私の望みどおりの優秀な人材に育ってくれた結果だと思う。…

起業直後の死の谷を乗り越えるための営業(マーケティングとセールス)に関し、日本電産の永守創業者は出版物や講演を通して様々な研究データを提供してくださっています。

永守創業者は著書*1で「取引をしてもらうには、会社の歴史とか経営者の年齢とかが、大きく影響してくる。・・どこへいっても門前払いを食わされるばかりだった。・・どこのモーターメーカーもやらない、手間ばかりかかって効率のあがらない、コンピュータな…

生産財営業のベストパフォーマーは、徒手空拳で顧客を開拓しキャシュを獲得して経営をやりくりしていた起業当時の創業者又は創業パートナーといえます。

起業家あるいは創業者といわれる方々は、何よりも優秀なセールス実績とやり抜く気力で、起業直後の危機を乗り越えて事業基盤確立に成功された方々です。続く規模の拡大は、優秀なマーケティング実績でもたらされたものです。 セールスとキャシュ獲得が続かな…

営業プロセスと営業能力の適合性に係わる参考文献

「やっぱり変だよ日本の営業」宋文洲著 isbn:4931466656 「小さな会社の社長の営業」原田繁男著 isbn:4893869493 「小さいからこそできる-オンリーワン企業」山田宏著 isbn:4532142415 「小さくても強い会社にする経営30法則」海生裕明著 isbn:4756901778 「…

ダイナミックな生産財マーケティングを実行する上では、オーダーテイキングの営業能力だけでは力量不足です。主要顧客の事業転換や産業構造の変化などの大きな環境変化を乗り越えて前進するためにはオーダーゲッティングの営業能力が必須となります。

右肩上がりの業界では配膳された食事を口に運ぶようなオーダーテイキングだけでも業績拡大が続きます。しかし大きな環境変化で新たなセグメントや顧客の開拓や商材開発が必要な場合には、上位力量のオーダーゲッティングの能力が必要です。 島田隆氏は著書*1…

営業能力の垂直分類と営業プロセスの受注パターンに関し、標準社員の中位以下の力量でもこなせるルーチン化されたオーダーテイキングと、上位力量が必要なオーダーゲッティングがあります。

上位力量が必要なオーダーゲッティングの事例は、多くの企業で起業当時の創業者や歴代のカリスマ営業の方々の歴代の活躍として伝承されています。生産財営業の受注パターンについては、7.35.51.で紹介させて頂いた西村務氏の「生産財マーケティング」で触れ…

営業能力の水平分類に関し、スポーツの競技パターンで個人競技と団体競技があるのと同様に、営業パターンにも、個人競技型営業とチーム競技型営業があります。

個人競技型営業は腕前がいい営業職人を採用できるかどうかで大勢が決まりますが、チーム競技型営業は野村元監督が言われる機能性の発揮の引き出し方で成果が大きく左右されることになります。 ケー・アソシエイツの小林代表は、個人競技型営業の力量上位者に…

求められる営業能力とは、組織が定める営業プロセスや顧客関連プロセスに応じて要件が変化します。世の中の大半の方々は営業向きですが、スポーツ選手と同様に、力量の格付格差はでてきます。

営業能力とは、入社後の鍛錬が、入社前に身につけている先天的な資質を経て陶冶された結果の心技体、そしてこの心技体と営業プロセスの相性や適合性で決まってきます。スポーツ選手が、毎日の基本型の繰り返しの鍛錬で心身を鍛え、毎日の鍛錬が先天的な資質…

営業とは事業を営むことですから、起業家や自営業が似合う行動的な方々は何よりも営業向きです。営業に不向きなタイプは特定が簡単です。不向きな人を除けば、プロとしてやっていこうという方々の殆どが営業向きといえます。

営業に向かない人の特定は簡単です。プロとしてやっていく気がない人です。例えば、口先の言葉や数字ばかりで体が動かない人、権威主義的な人、官僚臭い人、威張る人、・・など、目標実現に向けて日々の生活習慣を設計しセルフマネジメントができない人、は…

組織営業と営業能力に係わる参考文献。

「なぜ営業マンは人間的に成長するのか」田中真澄著 isbn:456957159X 「なぜ売れないか」木子吉永著 isbn:4900699217 「全社営業力をつくる」田中邦穂・岡村繁雄共著 isbn:449602599X 「こんな営業は今すぐやめろ」山川裕正著 isbn:483341712X 「営業ミドル…

個人と組織の能力向上に関し「各企業の営業力とは、各企業の組織能力を反映したもの」で、個人の能力の総和ではなくて何らかの化学反応を経た結果といえそうです。

才能や知的能力が高い人材が集まっているはずの大企業でも販売不振で経営危機に陥る企業が数多ある一方で、小さな世界企業、小さな元気印企業も数多あります。前述の藤本篤志氏は野村克也氏の「チームでもっとも大事なのは“機能性”である。『個々の選手の才…

前述の藤本篤志氏の「標準社員の営業能力で十分に高い成果を上げることができる」に関し、営業能力のMECEである心技体で全体を分類をすると次のようになります。

<心>愚直で勤勉なマインド・スピリッツ・ハート(不良社員は駄目)、 <技>後天的に見聞きして積み重ねることができる営業知識、 <体>営業量を増やして挑戦していく実行力とエネルギー、 となるのではないでしょうか・・・・。 藤本篤志氏は標準社員の…

トヨタ生産方式に倣った表現ですが、販売部門では付加価値を生まない動きをムダドリして質を伴った顧客コミュニケーションという付加価値を生み出す働きを増やすことで販売組織の生産性が高まります。

52で前述の藤本篤志氏は「日本は大卒で上位2割の人材の殆どが大企業に流れてしまうので、中堅企業や中小企業あるいはベンチャー企業でも獲得可能な勤勉な標準社員の働きを高める営業量と営業知識量の両方を増やすことで十分な成果を出せる」と説きます。「営…

コンピンテンシーの普及で成果を生み出す能力の研究も進んでいますが、日本古来の心技体も成果を生み出す能力の全体像を分類する上で素晴らしい統合概念です。

経営者や高度で複雑な生産財を扱う営業パーソンが概念思考を行う際にとても便利なツールの一つに、マッキンゼー社が開発したとされる全体把握と分類のためのMECE(ミーシー、全体でもれなくだぶりなくの略語)があります。MECEには、世界観で陰と陽、野球能力…

組織の営業能力に関し、藤本篤志氏が著書「御社の営業がダメな理由」*4で「7名以下のチームを編成し、報告書の代わりにマネージャーが毎日のヒアリングと同行営業を行う」ことでチームとしての営業力が強くなる、と提言しておられます。

藤本篤志氏の提言は的を得た内容が多く、特に中堅中小の30-40人規模の営業組織では極めて適合性が高いような気がします。この30-40人規模の営業組織であれば、ハウツーとしてそのままのコピーでも高い効果が期待できるかもしれません。 中堅中小企業で30-40…

個人の努力や才能が個人の成果に直結する消費財営業の分野では阪本亮一氏*3が様々な事例やモデルを提供してくれています。

阪本亮一氏は著書で「最初の営業経験はGEエアコンの訪問販売会社を創立して社長となった時である。・・三年目で西日本トップクラスの販売会社に成長した。・・営業社員の数が急速に増えた。・・人数が増えると精鋭ばかりでなくなる。職欲しさに、何となく営…

生産財営業のセールス&マーケティングでは、トヨタ生産方式の「離れ小島をつくらない、一人だけの仕事をいくつか集めてチームワークが発揮できるようにしろ」*2が参考になります。

日本のものづくりの強さを推進してきた一つが小集団活動ですが、生産財営業でも同様です。消費財営業の場合には、図抜けたセールマンの個人的な才能が発揮される事例が多々みられますが、生産財営業で持続的な成果を生産するのは主に「社内チームワークから…

耐久生産財の製造設備では精密塗工装置や乾燥装置、熱処理装置、真空成膜装置・・・等々が使われますが、直近の新聞報道を列記してみることだけでも、業界のホットな動きを感じ取れます。

日経新聞2006年8月22日付で液晶向け露光装置:ウシオ電機が御殿場事業所内に30億円を投じて新工場棟を建設する。液晶パネルメーカーの増産投資で需要が拡大している露光装置の増産並びに分散している製造拠点を集約して生産効率を高めるため。半導体産業新聞…

FPD製造装置や半導体製造装置からの派生需要は、マテリアル生産財や中間財の製造企業にとっても需要の一セグメントを形成しています。

前述のFPD製造装置と半導体製造装置を合計した日本製の販売高は2005年度で2兆4百億円と巨大です。別の機会に整理したいと考えていますが、マテリアル生産財でステンレスやアルミ厚板、合成石英、特殊炭素、中間財でスイッチ、モーターやポンプ、制御基板や制…

日本製のFPD製造装置の販売予測は06年度が6082億円で前年比15%増です。薄型テレビの普及でFPDの生産拡大が続きますからFPD製造装置の販売も拡大が続きます。

液晶パネル製造向けが一時的な減退に入りましたが、PDPパネル製造向けが相変わらず好調で有機ELパネル向けも上向きだしていることからFPD製造装置の全体は拡大基調のままと報道されています。 電波新聞2006年8月22日付で「日本半導体製造装置協会(SEAJ)が6月…

2006-8-27 1/4 購買センター概念 (組織的購買を構成する主要諸機能)

消費財営業と生産財営業の違いに関し、生産財営業の標的は派生需要ですから展開地域が偏りますし、営業プロセスもQCDSとE(環境)に加えて販売引渡後の関係性のメンテナンスが重要になります。 消費財である薄型テレビの販売は、製造企業はマーケティング活動…

高額商品のプラズマテレビや液晶テレビの普及は系列の地域販売店のスパイラル進化を促進しているともいえそうです。

営業プロセスの顧客関連プロセスに関し、消費財の薄型テレビの販売では「地域店強し」との話を聞くことが多くなりました。 松下電器の常務役員でパナソニックマーケティング本部の牛丸本部長は「私が嬉しいのはこれら(デジタル家電製品)がすべて日本発の商…

日本発のIPS液晶テレビの供給能力が整備され始めたことで、東芝が液晶テレビで攻勢に出始めました。

電波新聞2006年8月24日付は、東芝の液晶テレビ「REGZA(レグザ)」の商品発表会で、新倉執行役員常務が「06年度26V型以上液晶テレビ市場のなかで国内15%、グローバル10%のシェア達成を目指し、積極的に攻勢をかけていく。・・・国内では4-7月で12%を達成し、グ…

液晶テレビのキーデバイスである液晶パネルの生産シェアに関し、松下・日立・東芝の3社連合が日本発のIPSパネルを搭載した液晶テレビで本格参戦を開始したことで、孤軍奮闘のシャープに加えて日本勢の巻き返し気運が高まってきました。

日立製作所、松下電器、東芝の三社が共同出資する液晶パネル製造会社であるIPSアルファテクノロジに関し、日経新聞2006年8月23日付は「8月22日の液晶パネル工場開所式で日立の古河一夫社長は『日本発の技術で世界で勝ちたい』と述べた。・・・IPSアルファテ…

日本の電子材料メーカーは、日本・韓国・台湾という高密度の市場を抱える「地の利」を得ているともいえます。「台湾や韓国に加えて、両国に近い九州立地」の工場建設の動きも出てきました。

マテリアル系生産財の電子材料で、日本の製造企業は、日本企業に加えて韓国のサムスンやLGあるいは台湾のパネルメーカーへのバリューチェーンとサプライチェーンにも参画することで、世界シェアの6-7割を維持しています。

テレビ用液晶パネルの生産国籍の8割は韓国と台湾です。OEMやODM生産を含めた生産シェアは、世界シェア4割強の韓国勢と、僅差で4割弱の台湾勢の伸びが大きく、日本勢トップのシャープは世界シェア13.5%で5位に後退しました。

Electronic Journal 2006年8月号が報じた米DisplaySerchの発表によると、2006年第1四半期のテレビ用TFT-LCDモジュールの出荷額は51億ドルで、国籍別には韓国2社で46.7%、台湾4社で38.4%、日本はシャープと日立の2社で14.1%です。 企業別内訳では、トップがソ…