青草新吾の惺々著考 glocaleigyo

生産財の青草新吾1はリタイア。シニアの青草新吾2は複業で貢献を目指す。

マテリアル系生産財

銅箔のものづくり競争と顧客であるFPC製造企業の回路の精密化の競争に関し、顧客側のFPC製造企業は素材性能への依存度を高め続けています。

銅箔の素材性能への顧客要求は在来の密着強度に加えてファインパターン形成のための平滑性への顧客要求が高まっています。密着性を維持しながらも粗度を低下させるという難易度が高い表面改質技術がキーとなります。まさに在来型のマテリアル生産財だった銅…

フレキシブル配線板(FPC)を製造するためのマテリアル系生産財であるフレキシブル銅箔積層板(FCCL)に関し「FPCの製造業者の内製比率が高い」のがこの業界の特徴です。

中間財のFPC(フレキシブル配線板)を製造するための材料となるマテリアル系生産財のFCCL(フレキシブル銅張積層板)を製造する企業は、FPCで世界シェア35%でトップのNOK(日本メクトロン)と同12%のフジクラ、住友電工(住友電工プリントサーキット)・・等々で、…

産業別の製造付加価値額に関し、平成17年度は化学産業が単独で自動車を含む輸送機械を逆転し、製造付加価値額で最大の産業に躍り出たそうです。

17[マテリアル系と電子材料王国日本]で前述の半導体産業新聞の泉谷渉氏は著書*1で「国内化学メーカーの『業界付加価値額』はついに先ごろ、これまた世界最強の自動車などの国内輸送機械を抜いて首位に躍り出た。・・中略・・100年企業を中心に化学、繊維、鉄…

日本国の製造業が生み出す約100兆円の製造付加価値額の内訳に関し、産業別には、化学・鉄鋼・窯業土石・非鉄の素材産業が生み出す製造付加価値額が最大で、以下輸送機械・電機・一般機械が続きます。

平成15年度の日本国の製造業の付加価値額100兆1千1百億円に関し、素材と電機の統計数字を括り直してみると、素材(マテリアル生産財・マテリアル系生産財)が最大規模の20兆8千4百億円となり、以下は電機、輸送機械、一般機械が続きます。 素材20兆8千4百億…

統計上の製造業とは、製造事業を営業する商社や小売を除いた狭義の製造業ともいえます。

商業分類の中でも半導体商社の多くがEMS(Electronics Manufacturing Service)事業を行っていますが統計上の表の分類は卸売りです。同じく商業分類のユニクロ(ファーストリテイリング)はSPA(Speciality Store Retailer of Private level Apparel)ですが株式欄…

鉄鋼製品の生産財流通に関し、東海地区では、スーパーリージョナルな豊田通商(東証と名証で上場)や岡谷鋼機(名証で上場)、カノークス(名証で上場)等のグローカルな色彩が濃い地場商社のプレゼンスが高いのが特徴的です。

全国平均ではグローバルな三菱商事と双日の合弁であるメタルワンや伊藤忠丸紅鉄鋼・・等の総合商社と、JFE商事HD、日鐵商事、住金物産、神鋼商事、・・等のメーカー商社が二大勢力ですが、東海地区は、前述のグローカルな地場商社の勢力が強いようです。

生産財流通における「派生需要の連鎖」を見ていく上では東海地区の自動車部品向けマテリアル系生産財の加工流通が参考になります。

マテリアル系生産財の調製加工で、キロ商材の樹脂製品ではコンパウンドや着色加工、アルミ製品や伸銅品などの非鉄金属製品及びステンレスなどの特殊鋼製品ではスリット加工や熱処理、トン商材の鉄鋼製品ではコイルセンターやシャーリングの調製加工が一大産…

中間財の電子基板の国内生産に関し、75%がリジッド基板で、5%の金属基板やセラミックス基板を除く残りの70%が樹脂基板です。樹脂基板とは、樹脂基材の銅張積層板(CCL)を加工して製造されたものです。

JPCAの統計では、電子回路基板の製造企業として178社が登録されています。この中でリジッドな樹脂基板を製造しているのは、イビデン、日本CMK、日立化成工業、メイコー、パナソニックエレクトロニックデバイス、大昌電子、エルナーなどです。 時代性と…

電機電子の世界市場の規模は中国のGDP相当の150兆円規模ですが、この電機電子の製造で使われているのが中間財の電子基板(統計上は電子部品の一部で電源基板も含む)です。自動車の電子化で車載用途も増えています。日本企業の世界シェアは3割ぐらいですが、高級品では日本企業が過半を維持しています。

電子基板の製造に関し、JPCA(日本電子回路工業会)の05年度統計で、JPCA会員企業の生産額は1兆5千億円で、国内生産が1兆1千2百億円、海外生産が3千8百億円と確認できます。海外生産比率は25%です。 国内生産の1兆1千2百億円を使われる基材で分…

中間財の半導体デバイスの製造で供給されるシリコンウエハーの生産財流通に関し、輸出の部分では、三菱商事、三井物産、住友商事が大きな役割をはたしているようですが、同じく中間財の自動車部品の製造企業に供給される自動車部品材料の生産財流通の輸出の部分では、トヨタグループでは豊田通商が大きな役割を果たしています。

トヨタの2005年の世界生産台数7360千台を地域別にみると、海外生産3571千台、国内生産3789千台の内訳です。国内生産台数の流通内訳は、国内販売が1713千台、輸出が2043千台です。世界生産の凡そ半分に相当する4百万台弱を国内生産…

日本のシリコンウエハーメーカーが世界シェアを高めたのは、米国・台湾・韓国の半導体デバイスメーカーが日本製ウエハーの購入比率を高めたからです。日系メーカーがQCDSに集約できる生産財営業の競争力と顧客満足度を改善できたからですが、このQCDSのSの部分では、大手商社の海外ネットワークが大きな貢献をしているようです。

2006-05-20で触れた半導体30年の泉谷渉氏が5月に出版された著書の中に以下の記述があります。 以下「電子材料王国日本の逆襲」*1 三菱商事にあって、電子材料分野の統括マネージャーの任にある川上秀文氏は、商社を取り巻く事情について次のように語る。…

2007年のイメージで、中間財で約30兆円前後の半導体デバイスを製造するために、マテリアル系生産財で約3兆円規模の工業材料が調達され、そのうちの約4割弱−1兆円前後がシリコンウエハーです。日本のお家芸産業に加わったシリコンウエハーですが、今現在の日系ウエハーメーカの世界シェアは6割ぐらいとのことです。21世紀に入ってからは太陽電池の光電変換セル向けの需要も鰻登りです。かなりの長期に亘って持続しそうな勢いです。

20年前の1985年頃に筆者もシリコンウエハー業界の方々と係わりを持てた経験がありますが、当時はまだワッカーやモンサントといった海外の強豪もいて「利益なき繁忙」を続けておられる印象でした。世界シェアもまだ3割ぐらいだったような記憶が残って…

生産財の商社や加工流通企業の場合には、マテリアルが語源であろうと推察できる造語もかなり使われているようです。ジャスダックに上場したばかりのアルコニックスは単純明快な造語だと感じました。

以下、マテリアル系生産財の工業材料を扱う貿易商社や加工流通商社。 アルコニックス(06年4月にジャスダック上場したばかり。非鉄金属製品の貿易商社、社名はアルミの「AL」銅の「Co」ニッケルの「Ni」輝ける未来への夢の「X」を組み合わせた造語…

マテリアル系の製造企業では、〜〜化成、〜〜セラミックス、〜〜金属、というように、社名には創業のマテリアル品目を表記した企業が多いのですが、中間財である電子基板への高機能銅箔の供給で世界トップの三井金属は「マテリアルの知恵を活かす」と社名の真下でテーマ表現をしていました。

マテリアルという用語を使う場合には、そのままマテリアルを使う企業が多いようですが、中には三菱電機メテックスのように工夫した造語を使う企業もみられます。また日鉱マテリアルズのようにズがついている事例もありました。 以下、マテリアル系生産財の製…

東洋経済新報社から5月に出版されたばかりの「電子材料王国ニッポンの逆襲」の中で、半導体産業新聞編集長の泉谷渉氏は、半導体・電子部品・ディスプレー・太陽電池などのエネルギーデバイス、を総称するデジタル素材に関し、2015年の市場規模を30兆円と見積もった上で、この市場で圧倒的な世界シェアを持つ、且つご自身が取材された企業から60社以上ものデジタル素材の企業群を紹介しておられます。

半導体業界歴30年の泉谷渉氏は「いまやマテリアルの時代が到来してきているとの確信を胸に、日本列島を駆け回り、その立てた仮説がやはり正しかった」と著書*1の中で述べておられますが、生産財営業歴30年の筆者もまったくの同感です。以下 「電子材料王…

日本国の産業別の世界シェアは、耐久消費財<中間財<マテリアル系生産財と川上に近づくほど高くなっていきます。営業プロセスの主要部分である顧客関連のプロセスを理解する上でも、また海外展開を考える上でも、このことは大きな意味を持ちます。

携帯電話機に代表される情報通信機器の事例で、日系企業の世界シェアは3割弱ですが、中間生産財(中間財)の部品やデバイスとなると6−7割、マテリアル系生産財の素材ではもっと高くなると推察できます。2006-05-06で触れた四日市のプレス金型の製造企業で…

日本国統計で、化学・非鉄・鉄鋼などのいわゆる素材産業の産業付加価値額が自動車産業を上回り始めた・・という事実を前に、日本の産業構造のスパイラルな進化発展を実感しています。マテリアル系企業のスパイラルな進化発展に関し、日本有数の老舗企業の住友金属鉱山と戦後企業のフジプレアムの事例でレビユーしてみます。

老舗企業の例で、住友金属鉱山は400年前に京都で蘇我理右門が興した銅吹き(銅精錬)を長子の友似が養子入りした住友家で発展させたのが起源です。銅地金製造の副産物で化成品事業、更には電子材料、電池材料へと進化発展を続け、今は携帯電話の分野では…

金属鉱物資源の有限性に関し、鉱業レベルの埋蔵量は、鉛・亜鉛・錫が約20年、銅が40年、ニッケルが60年、鉄が70年ぐらい、とのことです。鉱石品位の低下は続きますから、更なる価格高騰で経済性を合せていくようになります。それでも枯渇してしまえばもう終わりです。そうなると残される金属資源は金属スクラップしかありません。

希少金属の回収とリサイクルは、経済性や効果で疑問点が残るペットボトルのリサイクルよりもはるかに重要度が高いと考えます。松下電器などは自社でリサイクル事業を開始していますし、三井金属や同和鉱業のような非鉄金属精錬企業が事業化して成長戦略を描…

金属スクラップの資源価値が高まり続けていきます。ベースメタル*1の鉛・亜鉛・錫の採掘も残り20年ぐらいで枯渇してしまう、とみられています。日本のお家芸である自動車やエレクトロニクス製品では、レアメタル*2とレアアース*3がリスク要因です。レアメタルに関し、日本で自給は殆どできません。

特にレアメタルの中でもレアアースは、供給面では中国が世界の9割を供給しており、需要面では日本が世界の3割を消費しています。レアアースは、光学ガラス、永久磁石、蛍光体、などで使われます。「日本の高品質素材はレアアースが隠し味」とでもいえまし…

銅地金の取引ルールに関し、世界中の電気銅取引の殆どはロンドンのLMEを中心とした定期市場の相場に基づいて値決めされます。LMEで形成される国際価格による取引ですから値決めは株式売買と同じです。トヨタや松下電器のような国際優良企業であっても、日々のLME相場そのものは交渉の対象外です。「買いを入れるタイミングで適用相場と購入価格が決定」します。これらの企業では安定調達が最優先ですから、主なポジションは長期契約で値決めしているようです。相場が上がっても下がっても平均して均してしまえば収支とんとんにできて、収益

日本では、日鉱金属が銅地金のLME相場を円に為替換算した上で日鉱金属が銅地金の国内建値を発表することになっています。この発表建値はキログラム当たりの円単価ですが、4月6日に700円の大台を突破し720円をつけました。これは1980年3月以…

自動車やエレクトロニクスの分野で多用される銅製品の顧客関連のプロセスに関し、海外から輸入した銅原料(銅鉱石・銅精鉱・粗銅)を精錬する買鉱精錬で製造されるのが電気銅(銅地金)で銅の1次製品です。非鉄精錬企業が買鉱精錬で銅地金を製造しています。日鉱金属、三井金属、同和鉱業、三菱マテリアル、住友金属鉱山の5社です。非鉄精錬企業が製造する銅地金は、電線や伸銅品といった2次製品の製造企業に供給されています。

並行して松下電器の国際商事本部(旧松下電器貿易)や総合商社・専門商社による銅地金の輸入販売も行われています。1次製品の銅地金を調達して2次製品の伸銅品を製造販売する主なプレーヤー企業は、神戸製鋼所、日立電線、古河電工、三宝伸銅、三菱伸銅、…

日本のお家芸ともいえる自動車とエレクトロニクスの両業界の主要部品である電装部品・エアコン熱交換器他の電機部品・電子部品・・・等々、中間財の製造で多用される銅の2次製品(電線・伸銅品・銅箔など)で価格急騰が続いています。1次製品である銅地金の国際相場急騰の玉突きです。1次製品の銅地金は、LMEなどの定期市場で取引されるコモディティ商品です。日本企業は「円高のお蔭で輸入価格の高騰が緩和されている分、諸外国の企業よりはまだ恵まれています」が、それでも今回の銅地金の相場急騰はあまりにも急峻といえます。

天然資源の銅鉱石を製錬し精錬することで製造された1次製品の銅地金を加工した2次製品が電線や伸銅品です。電子回路基板の回路部を構成する銅箔や半導体リードフレーム、精密コネクタの端子など、高品質分野では日系企業が世界シェアの過半を維持していま…

自動車部品製造企業の製造工程は、多くの外注工程で支えられています。マテリアル系生産財を加工する工程では、耐久生産財とものづくり基盤技術(プレス加工・鍛造・切削・熱処理・鋳造・めっき、など)を使って単体部品が製造されます。もの造りの工程分業を担う「調製加工の支援プロセス」はサポーティングインダストリーの主要プロセスを構成しています。特に金型製造とプレス加工は一大産業を形成しています。

川上の約30千の単体部品が約1千を超える機能部品に集約される階層の工程では、多くの工程が外注されています。金型製造の業界団体のHPによると、金型業界の規模は、1997年統計で、1兆8千288億円、向け先の内訳はプレス用35%、プラスチック…

自動車の電装化・電子化・ハイブリッド化とともに、複合成型(インサート成型)で組み立てられた部品の搭載個数が増え続けており、樹脂製品や伸銅品の1台当たり使用量が増え続けています。

絶縁材の樹脂製品(ベースポリマー・コンパウンド・フィルムなど)でも日本企業がリードする品種が増えてきています。例えばECU(電子制御ユニット)は、1台当たり10−40個も搭載されるようになってきていますが、更に増え続けていく基調にあります。…

自動車部品製造企業の製造工程は、高品質のマテリアル系生産財(鉄鋼製品・アルミ製品、樹脂製品・伸銅品・電子材料・・)の供給で支えられています。マテリアル系の生産財では、日本企業しか製造できない品種や、日本企業が世界シェアの大半を維持している品種が数多く存在します。

よくいわれることですが、自動車を川上から川下に辿ると、約30千の単体部品が、1千を超える機能部品に集約され、この1千を超える機能部品が数十のサブシステムへと更に集約されて、最終的に耐久消費財である1台のクルマに組み立てられます。自動車中間…

マテリアル系生産財の顧客関連プロセスに注目することで、殆どの業界・業種・業態の動きや特徴がリアルに見えてきます。

日本のもの造りで国際競争力が高い両翼の自動車とエレクトロニクスの融合は、新たな競争力を生み出していくことになりますが、そこではマテリアル系生産財の進化とともに、サポーティングインダストリーと言われる支援系の産業、とくにものづくり基盤技術に…

マテリアル系生産財の「営業プロセス]には、生産財営業が多重的に投影されるので生産財営業の特徴が凝縮されています。

このマテリアル系生産財の営業プロセスを観察することで生産財営業の特徴を抽出していきたいと考えます。[消費財の4P]と[生産財のQCDS]、消費財の嗜好選考と生産財のコストパフォーマンス選考、選択的選考と育成的選考・・・・等々です。

薄型テレビを生産するための中間財、例えばキーデバイスのパネル(中間財)を生産するために、スパッタリング装置やMgO蒸着装置、分析装置・・などの耐久生産財とマテリアル系生産財が調達されます。

更には[マテリアル系生産財]を製造するためにも様々な耐久生産財(装置)が使われます。 [中間生産財(中間財)]を製造するために[耐久生産財]と[マテリアル系生産財]の両方が調達される。 [マテリアル系生産財]を製造するためにも[耐久生産財]…

消費財であるPDPテレビは、中間生産財(中間財)であるPDPパネル・PDPドライバーモジュール・給電や制御の回路モジュール・シャシーパネル(アルミ製品)・バックパネル(鋼板製品)・・・等々、を組み立てたものです。

中間財のキーデバイスである[PDPパネル]の製造は、東レとの合弁会社である[松下プラズマディスプレー]が生産を担当していますが、松下プラズマディスプレー社に対して高品質の[硝子基板]や[電磁波シールドフィルム][表面フィルム]などのマテリア…

良い電子部品は良い材料から(よい中間生産財は良いマテリアル系生産財から)。

電波新聞3月31日付の報道によると、3月30日に京都で行われた村田製作所創業者・故村田昭氏(2月3日逝去84歳)の「お別れの会」で京都商工会議所会頭の村田純一「村田機械」会長が述べられた弔辞「独自の製品づくり、良い電子機器は良い電子部品か…